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 米国の治療施設をモデルにした子どもと女性のためのクリニックが、愛知県大府市に開院した。一般の患者に加え、NPO法人や児童相談所などと連携して、虐待を受けた子どもやその母親たちの診察もする。

 児童精神科、心療内科などを備える「楓(かえで)の丘こどもと女性のクリニック」は、ミニチュアホースと触れあう場所やボルダリング設備があるのが特徴。心の傷を負った子どもを治療する米国の施設「グリーン・チムニーズ」をモデルにしたという。

 クリニックの院長、新井康祥さん(44)は「動物に触れると優しい気持ちになり、運動が出来るようになると自信がつく。治療に非常に効果的」と説明する。虐待を受けた子どもは精神的に不安定で自信をなくしがちで、ストレスのはけ口として保護してくれる人に暴力をふるうこともあるという。

 新井さんは、大府市の「あいち小児保健医療総合センター」の心療科で約10年間勤務。児童相談所から紹介された母子らを治療してきた。患者には、かつて虐待された子どもを引き取った里親も多かった。子どもは虐待経験を思い出すと不安定になり、対処に困った里親が精神的に弱ることが少なくないという。

 ところが、勤めていた心療科が今年4月から「愛知県心身障害者コロニー中央病院」(愛知県春日井市)に移管されることになった。新井さんは、これまで診察を続けてきた患者のためにも、大府市内でクリニックを開くことを決めた。「自分が診なきゃ誰が診るんだ」。そんな思いだったという。

 NPO法人CAPNAは新井さんと連携して、児童虐待防止に取り組む機関の一つ。理事長の萬屋育子さん(67)は「児童虐待は増えていて、児童精神科はとても必要なのに圧倒的に足りない」と話す。

 厚生労働省によると、全国の児童相談所での児童虐待相談対応件数は、2016年度は12万件以上(速報値)で、1990年度の約110倍。児童虐待への意識の高まりなどもあるが、増加幅に児童精神科の数が追いついていないのが実情だという。

 「楓の丘こどもと女性のクリニック」は予約制。1日40件ほど診察するが、約1カ月先まで予約が埋まっているという。詳細は同クリニックのウェブサイト(http://kaede-cl.jp別ウインドウで開きます)。(竹之内直道)