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 アルツハイマー病の大規模研究「J―ADNI(アドニ)」で、60歳以上の健常者の約2割に、アルツハイマー病の発症と深い関わりがある「アミロイドβ(ベータ)」という異常なたんぱく質が、脳内に蓄積し始めていることが明らかになった。研究チームは、日本人で認知症が発症前から進行している実態を初めて明らかにしたとしている。

 アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβが蓄積し、神経細胞が徐々に死滅することが原因と考えられている。蓄積が始まってから、物忘れなどの症状が出るまでに15年ほどかかるとされる。

 J―ADNIは2008年、アルツハイマー病を早期の段階で診断する方法を確立するための米国の研究「ADNI」と同様の手法で始まった。東京大など全国38の研究機関が参加し、軽度のアルツハイマー型認知症の人から健常者まで、60歳以上の計537人を2~3年追跡して調べた。

 このうち、アルツハイマー病を発症していない健常者83人の脳を画像診断などで調べたところ、23%にあたる19人でアミロイドβが蓄積していた。また、発症していないが認知機能が低下している軽度認知障害のうち、すでにアミロイドβが蓄積していた人の約6割が3年後に認知症を発症していた。さらに、軽度認知障害の記憶や生活への影響を調べると、悪化するスピードが米国の対象者とほぼ一致していることがわかった。

 主任研究者の岩坪威・東京大教授は「軽度認知障害の進行には、人種を超えて共通性があることがわかった。治療薬の開発に弾みがつく成果だ」と話している。論文が9日、米国の専門誌に掲載された。(佐藤建仁)