[PR]

 東京都は8日、かつての優生保護法のもと、1949年から82年の間に都内で少なくとも529人が強制不妊手術を受けていたことがわかったと発表した。新たに記録が見つかり、これまでの調査より19人増えた。また、都が不妊手術を推し進めていたことを示す資料や、病院など12施設が残した記録が見つかったことも明らかにした。

 旧優生保護法のもとでは、精神疾患や知的障害などを理由に、本人の同意がないまま不妊手術が強制されていた。都は今年2月、旧衛生局の「衛生年報」をもとに、49~66年に510人が強制不妊手術を受けたことを確認。さらに調べた結果、「精神保健福祉」(旧名・精神衛生)と題した年報には69~96年までの記録があり、82年まで計19人が手術を受けたと記されていた。ただ、個人を特定できる情報はなかった。

 529人の内訳は女性337人、男性141人、性別不明51人。このほかに同意のもとに不妊手術を受けた人も140人いた。67、68年の2年分は記録がない。

 また、昭和30年代の旧衛生局の「事業概要」が見つかり、「(不妊手術が)増加しており、喜ばしい」「医師側に該当対象の発見と申請について協力を求めている」といった見解が記されていた。当時のパンフレットには「精神分裂病(現在の統合失調症)の人は子供を作らないようにすることが必要」などと書かれ、保健所に設けた「優生保護相談所」への相談を広く呼びかけていた。都の担当者は「当時は都は国の方針に沿って対応していたと思うが、今では考えられない内容。人権侵害だ」と話した。

「異性の誘惑に乗る…」 強制不妊手術、都内病院に資料

 東京都の病院などへの調査で、旧優生保護法のもとでの強制不妊手術の記録などが見つかった12施設の一つ、都立松沢病院(世田谷区)では、30人の不妊手術の申請書や実施報告書などが見つかった。資料は個人を特定できるものだが、都は本人に連絡しておらず、担当者は「国の方針を待って対応したい」としている。

 都は今年3月、都内の全病院や福祉施設など約2200施設に、旧優生保護法に関する記録の有無を質問。今月8日までに1333施設から回答があり、うち松沢病院を含む12施設から記録があると回答があった。

 松沢病院は日本の精神科病院の草分けで、1919年に開設。都によると、院内のカルテ庫で11人の「手術実施報告書」が見つかった。女性8人、男性3人で、名前や生年月日、住所が書かれ、1冊のつづりにとじられていた。手術の申請書や遺伝調査書もあり、11人のほかに19人が手術を受けた可能性があるという。

 30人のうち20人は、手術の申請理由に「精神分裂病」(現在の統合失調症)が挙げられていた。申請書には「異性の誘惑に乗ることも多く妊娠したこともある。再びこの様な誤りを犯す危険が多い」「父親がある程度の性格偏向を持っており、祖母が精神病にかかった」などと詳しく理由が記されたケースもあった。10人分の同意書もあったという。

 また、都立の3福祉施設で手術を受けたか、受けた可能性があるという計9人の名前入りの記録が見つかった。さらに8施設の民間病院、診療所、障害者支援施設でも手術に関する記録があると報告されており、さらに詳しく調べている。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(斉藤寛子、西村奈緒美)