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 旧優生保護法のもと、障害のある人に不妊手術が強制された問題で、神奈川県が1950年代後半、手術費を補助する規則を定めて実際に費用を支出していたことが、県立公文書館に保存されていた資料から判明した。手術費は国庫負担が基本だったが、なかには当事者が負担する事例があり、県は費用を補助することで手術件数を増やそうとしていた。

 県立公文書館の資料によると、県が定めていたのは1956年8月施行の「優生手術費補助規則」。同規則は手術について「(優生保護)法施行からわずか10件あまりで、必要性が十分普及されていない」とし、規則の趣旨を説明する記述のなかで、費用負担の面から手術への同意を得にくいなどとして、費用を補助することで手術申請が増加するとしている。

 旧優生保護法では、遺伝性疾患や精神障害などにあたると医師が判断した人について、医師が当事者の同意なしに、都道府県の「優生保護審査会」に不妊手術を申請することができた。遺伝性が強いと判断されれば全額国庫負担だったが、遺伝性が証明されないと国庫負担は半額。県の補助規則はそれを補う内容だったが、現時点で県独自に判断して始めた制度かどうかはわかっていない。

 黒岩祐治知事は強制不妊手術を「人権を無視した遺憾なこと」として庁内に調査を指示。県がん・疾病対策課によると、1962、63両年に県の優生保護審査会に不妊手術の申請が出され、規則に基づく支出があったことを公文書館の資料で確認したという。対象人数などは不明で、同課は引き続き調査する方針だが、保存されていない文書も多く、調査がどこまでさかのぼれるか不透明な状況だ。

 厚生労働省によると、優生保護法が施行されていた48年から96年までの間に、県内で強制不妊手術を施された人は少なくとも420人いる。黒岩知事は4月の記者会見で「(実際に手術を受けたと)名乗り出る方がいるかもしれない。その際は誠実に対応したい」と述べている。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/岩堀滋