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 過激派組織「イスラム国」(IS)との戦闘で銃声が鳴り響くなか、砂ぼこりで真っ白になって避難するイラクの親子。できる限りの家財道具を両手に抱えて命からがら国境を越えてくる、ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャの難民……。

 国際報道部に在籍した昨年4月以降、延べ17カ国を訪れ、紛争地や難民を中心に取材をしてきた。現場で見えてくる風景はつらく厳しい現実だ。それは避難民テントで、道路脇で、病院の一室で、傷つき疲れ果て、明日への不安に満ちた人々の姿だった。

 事実上の内戦状態に陥っている南スーダン。2017年5月に訪れた首都ジュバの病院では、栄養失調とマラリアに苦しみ、顔にたかるハエを追い払うこともできない子どもがベッドで力なく横たわっていた。寄り添う母親もマラリアにかかり、添い寝をするのがやっとだった。

 17年12月、トランプ米大統領が、在イスラエル米大使館をエルサレムに移転すると発表した。東エルサレムを将来のパレスチナ国家の首都とするパレスチナ人は猛烈に反抗した。パレスチナ自治区ガザ地区で繰り広げられたデモにイスラエル軍は空爆で応え、1歳にも満たない男の子が頭に大けがをした。

 どんなに厳しい現実を取材しても、私は家族や仲間が待つ日本に帰ることができる。しかし、彼らの現実は消えない。彼らの「今」を記録して残すことこそが大事だと思った。彼らは世界の助けを求めている。助けが必要なのだ。(機動特派員・杉本康弘)