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 「五輪やパラリンピックに直接関われる貴重な体験をぜひみなさんも」。そう呼びかけて東京五輪・パラリンピックのボランティアの募集要項案を発表してみたが、「ブラックだ」などと世間の風当たりは思いのほか、強かった。「まずは自分がやってみないとだめだ」ということで、大会組織委員会のトップ級幹部が、国際スポーツ大会の現場に立った。

 「ペットボトルは握らない。選手が取りやすいよう手のひらに乗せる感じで」

 12日に横浜市の山下公園周辺コースで行われた世界トライアスロンシリーズの横浜大会で、東京組織委の坂上(さかうえ)優介・副事務総長(66)は経験豊かなボランティアリーダーから注意を受けた。ペットボトルの水を選手に手渡すエイドステーションに坂上氏は立っていた。

 日本興業銀行を経て、UDトラックス(旧・日産ディーゼル工業)会長を務めていた2年前、民間出身者を探していた組織委に、副事務総長として迎えられた。5人いる副事務総長の中で、坂上氏はボランティアの募集などを担当する。事務方では武藤敏郎事務総長に次ぐポストだ。「でも現場では肩書なんて関係ない。右も左も分からないから、リーダーの方の言うとおりに動くしかなかった」

 組織委は3月、ボランティアの募集要項案を公表した。だが「10日間以上活動できる方」「1日8時間程度」の2項目について、「仕事をそんなに休めない」「ハードルが高い」との反応が相次いだ。またネット上では「やりがい搾取」「ブラックだ」などの声がやまない。

 トライアスロン横浜大会は約2千人のボランティアが支えた。コース周辺のゴミを拾っていた会社員の榎本飛鳥さん(27)は、自分がマラソン大会に出場した時に沿道のボランティアから受けた声援に励まされた恩返しがしたくて、参加した。「東京五輪でも活動したいけど、10日間は無理かな」。勤める会社では、ボランティア休暇は年間1日しか認められていない。「5日間程度なら、夏休みを取れば参加できるかも。もう少し気軽に出来るとうれしい」と話した。

 今秋の募集開始を前に、夏まで…

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