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 高校野球の春季京都府大会は14日、準々決勝があり、今春の選抜大会に出場した乙訓が終盤に4点差をひっくり返し、福知山成美を6―4で下した。6失策と守備が乱れたが、打線が奮起して準決勝進出を決めた。19日の準決勝では、4―2で龍谷大平安を下した東山と戦う。

 乙訓のスタイルは、先行逃げ切り。それがダメなら、接戦に持ち込む。選抜の2試合で無失策だったように、堅い守備があるからできることだ。「ダブルエース」と呼ばれる右腕の川畑大地(3年)と左腕の富山太樹(同)を、堅守で支えてきた。

 この日は、その強みが崩れた。一回、遊ゴロの送球を主将で一塁手の中川健太郎(同)が落球(記録は遊撃手の悪送球)。ここから1死満塁のピンチを招くと、右中間三塁打の中継も乱れ、打者走者の生還まで許した。経験が浅い先発・高木優雅(3年)の足を守備で引っ張り、いきなり4点のリードを奪われた。

 「アウトをとろうと意識しすぎて、受け身になった」と中川。弱気な姿勢は味方に伝染し、その後も失策が出た。影響したのか、攻撃も消極的になり、六回まで散発3安打と苦しんだ。

 市川靖久監督は静観していた。選抜以降は「事前に相手投手の対策はせず、試合のなかで選手に考えさせる」と心がけていたからだ。だが、0―4で迎えた七回の攻撃前、しびれを切らして選手の円陣に声をかけた。「狙うゾーンを上げて、左打者は直球、右打者はスライダーに絞れ」

 すると、面白いようにバットが振れる。連続長打で1点を取り返すと、八回には4連打で5得点。最初のストライクを積極的に狙い打って逆転に成功し、そのまま逃げ切った。

 左打ちの中川は監督の指示通り、八回に直球を同点の右前適時打にしたが、浮かない表情だった。「本当に苦しかった。守備では防げたミスがたくさんあったし、攻撃は自分たちで攻略を考えられなかった。未熟な部分がでました」。やりたい野球はできなかった。課題も痛感した。それでも勝てた。乙訓の学びの春は続く。(小俣勇貴

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