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福岡伸一さん(生物学者)

 私が京大を卒業したのは1982年で、財務次官だった福田淳一氏が東大を卒業したのと同じ年です。当時、大蔵省への82年入省組が、盛んにメディアで取り上げられていたのをよく覚えています。

 ですから昨年、福田淳一氏が財務次官に就任したというニュースを聞いたとき、不思議な感慨にとらわれました。小学校以来の長い長い秀才レースの末、出世競争の「上がり」のポジションに、着いたのです。研究の道に進んだ私は、外野から眺めていただけですが、われわれの世代も人生の秋を迎えたのだ、という気持ちになったのでした。

 ところが今年になって、前国税庁長官の佐川宣寿氏も含め、財務省の花の82年組が次々と瓦解(がかい)していきました。

 なぜなのかを考えたとき、受験秀才が最後まで競うこのシステムには優秀な人の選抜という良い点の一方、悪い点がある、と思い至りました。

 それは、システムの限定性です。競争相手は同年齢・同学年だけで、勉強の範囲も決まっています。おのずと効率や要領、暗記や処理能力の高さだけが評価されます。

 これはクローンで自分を複製し…

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