[PR]

 暑くなってきた。夏場のスポーツ活動では、気温がピークになる昼間の活動を避けることが、熱中症対策の一つとなる。

 ただ、朝の活動でも重大な事故が起こっている。

 昨年8月9日、群馬県伊勢崎市の中学校で、複数の運動部から選抜された生徒で構成される駅伝チームの練習中に、卓球部の1年女子が熱中症で意識不明になった。

 伊勢崎市の事故調査結果によると、練習開始は午前6時55分だった。7時13分から15分間走り、1、2分の休憩後、7時半からまた15分間のランニング。1年女子はゴールライン付近で足がもつれるようにひざから倒れた。当日の伊勢崎市の気温は7時の時点で既に29・4度だった。

 一昨年8月16日に、奈良県生駒市の中学校の男子ハンドボール部の1年生が亡くなった事故も発生は朝だった。

 生駒市の事故調査報告書によると、朝8時35分に始まった練習で、全員が35分間の持久走を課された。給水はなく、ランニングを終えた時に1年生は倒れ、救急搬送されたが、翌日に死亡した。

 ともに報告書は問題点を指摘する。

 伊勢崎市の場合、「休憩を1分で済ませて足を止めずに何口か飲んだらすぐ戻るように」という指導がなされ、給水時間が十分ではなかった。練習前に「集団からの脱落者がすぐに出てしまう。それだと力がつかない。しんどくなってからどれだけ粘れるかが大切」と教員が生徒に伝えるなど、個人の能力差に応じた指導もなされていなかった。

 生駒市の事故も、休息、給水時間が確保されていなかったほか、肥満気味の1年生が他の生徒と同じように走らされ、やはり体格・体力に応じた配慮が不足していた。

 中京大の松本孝朗教授(運動生理学)は「朝も、昼間より暑さが穏やかというだけで、日射があれば、WBGT(総合的に暑さを示す指数)は上がる」と話す。

 松本教授のグループが昨年7月末から8月初旬にかけ、2020年東京五輪・パラリンピックのマラソンコースで測定したところ、日本スポーツ協会の指標で「激しい運動や持久走は中止」のWBGT28~31度が、朝7時から出現したという。

 朝でも油断せず、給水や能力差に配慮した指導が絶対である。(編集委員・中小路徹)