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 長く鉄骨住宅のみを扱ってきたトヨタホームが木造住宅に参入する。人口減で住宅市場の縮小が見込まれるなか、低価格を売りに客層を広げるねらいだが、競争は激しそうだ。

 「今より2、3割は安い価格で提供できる」。トヨタホームの植村健吾常務は今春、東京都内での会見で力を込めた。木造の新しいブランド「モクア」の分譲11戸を7月から神奈川県で売り出す。土地込みの販売価格は税込みで4千万円台前半と、価格を抑えた。

 建物の1坪あたり単価は鉄骨が60万円以上なのに対し、モクアは50万円ほど。他地域でも展開し、今年度50戸、来年度は150戸の販売をめざす。おひざ元の愛知県でも計画中だ。

 木造住宅は大手に加え、中堅業者や地域の工務店もひしめく激戦だが、同社はあえて「参戦」を決めた。人口や世帯数の減少による住宅業界全体の先行きの厳しさが背景にある。野村総合研究所によると、新設住宅着工戸数は2016年度の97万戸から30年度には55万戸に減るという。

 19年秋に予定される消費増税も高額商品の住宅には逆風となりそうだ。トヨタホームの幹部は「増税後も生き残るためには、幅広い価格帯の商品を持っておかねばならない」と危機感を隠さない。

 一方で、パナソニックも木造住宅に本格参入する。同社は昨年秋、住宅販売のパナホーム(現パナソニックホームズ)を完全子会社にするなど、住宅関連を「成長事業」の一つに据えている。新築の受注が増えれば、主力の家電や太陽光発電システムを一緒に売るチャンスが増えるからだ。

 新たに売り出す木造住宅は2千万円ほどで、同社の鉄骨と比べると1千万~2千万円安い。あらかじめ工場で屋根や壁の一部を造り、現場で組み立てることで、木造の一般的な工法より工期が2~4割短くてすむという。

 民間の調査会社、住宅産業研究所の関博計(ひろかず)社長は「シェアを伸ばそうと、各社が価格を抑えた木造住宅に注力しており、競争は一段と激しくなるだろう」と指摘する。(竹山栄太郎、神山純一)