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 国が後押しするiPS細胞を使う再生医療研究について、少なくとも製薬企業など8社が患者を治療するための製品(計12種類)の開発に乗り出していることが分かった。最も早い社は2020年の発売を目指している。製品化の前段階となる臨床試験が今年度、大学などで相次ぐ見通しで、再生医療の実用化に向けた動きが本格化する。

 国はiPS細胞を使った再生医療の実現を目指し、京都大、大阪大、慶応大など12の研究拠点に資金を重点的に出してきた。治療法がない病気をiPS細胞からつくった細胞や組織で治療することが期待されている。ただ、患者が受けられる医療となるには、細胞や組織などを治療に使うために加工した「再生医療製品」としての国の承認が必要で、大学などと連携して開発する企業の動きがカギとなる。

 そこで12拠点と連携する企業について、朝日新聞が調べたところ、8社がiPS細胞を使う製品を開発していた。対象の病気は、目の網膜の病気である加齢黄斑変性と網膜色素変性、パーキンソン病、心不全(3社)、脊髄(せきずい)損傷、代謝性肝疾患、がん(2社)、1型糖尿病、血液の病気など。

 最も早い目標時期を掲げているのは、東京大や京都大の研究をもとに、メガカリオン(京都市)が製品化に取り組む血液製剤で、20年の承認を目指している。三輪玄二郎社長は「少子高齢化で献血者が減り、血小板製剤は不足するとみられている。iPS細胞から製剤を製造する技術は確立しており、量産できる設備を開発する体制を整えた」と語る。

 理化学研究所が代表となって研究を進め、ヘリオス(東京都港区)と大日本住友製薬(大阪市)が共同開発する加齢黄斑変性の治療製品と、京都大が研究を進め、大日本住友製薬が開発するパーキンソン病の治療製品も先行している。大日本住友は3月、iPS細胞を使う再生医療製品の商業用製造拠点を大阪で世界で初めて稼働した。木村徹取締役は「(生産体制を構築して開発を進めるという)第1ステージのゴールが見えてきた」と話す。

 元となるiPS細胞は8社のうち7社が、京都大iPS細胞研究所(山中伸弥所長)から提供を受ける計画だ。

 iPS細胞を使う再生医療の研究を支援してきた日本医療研究開発機構(AMED)の斎藤英彦プログラムディレクターは「大手製薬企業の参入は一部で様子見の段階。この1年で臨床応用が進み、状況が変わると期待している」と話す。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(合田禄、阿部彰芳、西川迅)