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 佐藤天彦(あまひこ)名人に羽生善治竜王が挑戦する第76期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第5局が29、30の両日、名古屋・大須の万松寺(ばんしょうじ)で指される。名古屋での名人戦開催は5年ぶりだ。ここまで両者ともに譲らず、2勝2敗。将棋を好んだ織田信長や徳川家康ゆかりの寺で、勝者が名人位に王手をかける大一番を迎える。

 万松寺は1540年、信長の父信秀が織田家の菩提寺(ぼだいじ)として、名古屋の別の場所に建立(その後移転)。家康は幼少時代の約3年間を万松寺で過ごした。信長も家康も将棋を愛好し、家康は1612年に一世名人の初代大橋宗桂(そうけい)に俸禄を与え、これが将棋の名人制度の始まりとされている。

 「万松寺で名人戦を開くのが夢だった」。そう話すのは、万松寺僧侶の伊藤聖崇(きよたか)さん(26)。修行先から戻ったばかりの昨年10月、父親の大藤元裕住職(60)に掛け合い、開催地の公募に手を挙げた。締め切りの2週間前だった。

 子どものころから大の将棋ファンで、アマチュア二段の腕前。学生時代はタイトル戦の大盤解説会や、プロ棋士のイベントなどに足しげく通っていた。いまも毎晩、スマートフォンのアプリで、その日あったプロ棋士の対局の棋譜をチェックするのが日課だ。

 対局者2人の揮毫(きごう)に、織田と徳川の家紋を入れた記念扇子も独自に作った。揮毫は佐藤名人が「響」、羽生竜王は「韻」。28日の前夜祭で入場者に配る。

 伊藤さんは「棋界最高峰のタイトル保持者同士で、名人に竜王が挑む黄金カード。佐藤名人は3連覇が、羽生竜王はタイトル通算100期の大記録が、それぞれかかっている。万全の態勢で迎え、どちらも応援したい」と話す。

「棋士めし」は名古屋めし

 平日でも大勢の観光客らでにぎわい、八つ以上の商店街に約1200の店舗・施設がひしめく大須商店街。その中心に立つ万松寺。対局中の防音には細心の注意を払う。

 対局場になるのは、本堂2階の大広間だ。普段は特別な応接室として使われる部屋だという。壁には、赤富士の額。愛知県豊田市に工房を構える和紙工芸作家、山内一生さんの作品といい、対局に備えて畳やふすまを張り替えた。

 本堂のすぐ脇を通る新天地通商店街は対局がある2日間、アーケードのスピーカーから流している宣伝やBGMを止める。近くのゲームセンターは扉を閉め切るなど、防音に協力。対局場階下の本堂は参拝できるが、さい銭箱を金属製から木製の小型に替えて、さい銭の音も響かないよう念を入れる。

 将棋ファンに関心が高い対局の昼食「棋士めし」にも注目が集まる。ひつまぶし、みそ煮込みうどん、エビフライサンドなど、名古屋名物を中心に十数種類のメニューを用意。地元の大須商店街の老舗店などが提供する。万松寺の担当者は「名古屋めしのPRとともに、大須商店街も盛り上げたい」と話す。(滝沢隆史)

28日に前夜祭

 名人戦第5局を前に、28日午後6時から万松寺近くのローズコートホテルで前夜祭が開かれる。会費は記念扇子付きで1万2千円。

 29、30両日はローズコートホテルで大盤解説会があり、30日は万松寺白龍ホールでも開催される。入場料は29日(午後2~6時半)が千円、30日(午前10時~終局)が2500円、2日間の通し券は3千円(高校生以下は割引あり)。問い合わせは白龍ホール(0120・154・896)。

名人戦第5局の主な昼食メニュー

ひつまぶし(澤正)

うな丼(澤正)

名古屋コーチンまぶし(一鳳)

名古屋コーチン極上親子丼(一鳳)

あんかけスパゲティ(万松寺バー)

みそ煮込みうどん(浅ひろ)

天きしめん(浅ひろ)

エビフライサンド(コンパル)

ピッツァ ナポレターナ マルゲリータ エクストラ S.T.G.(チェザリ)

ピッツァ パシュクアーレ(チェザリ)

※()内は店舗名