[PR]

 雨上がりの奈良県明日香村。田に植えられたハスの葉の上に、小さな水たまりができていた。そこへ薄桃色の花びらがはらり。すると、1匹の小さなカエルが跳んだ。まるで、花びらの舟に乗り込むように。

 その瞬間を、フリーのテレビカメラマン、保山(ほざん)耕一さん(54)が捉えた。エサかなにかで誘導しようが、無理やり捕まえてこようが、ヤラセで撮れる映像ではない。奇跡のような光景に出会うまで、ハス田の周りを歩き続けること5時間。カエルがたくさん跳びはねてはいたが、花びらに乗った姿を目にして初めて、「ああ、おれはこれを探していたんだ」と気づいたという。

 保山さんは奈良県生駒市在住。「奈良には365の季節がある」と、県内各所で撮影を続けている。紅葉が浮かぶ水たまりに映る、青い空と白い雲。満開の桜と白いユキヤナギが両岸を埋める中、川面をそっと流れる花筏(はないかだ)――数百に及ぶ作品はユーチューブで見ることができる。

 私は今、保山さんの映像美の秘密を解き明かしたいと、断続的にインタビューを始めたところだ。

(編集委員)

こんなニュースも