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 精神障害がある人が地域や企業の人たちと日常的に交流し、楽しむことができるカフェが評価され、高知市の社会福祉法人「さんかく広場」が第14回のリリー賞を受賞した。カフェに来る客は、愚痴を聞いてもらったり、メイクや酒のたしなみ方を教えてもらったりして楽しんでいる。

 リリー賞はNPO法人地域精神保健福祉機構(千葉県市川市)が主催する。毎年、精神障害者の社会参加や自立支援に貢献した団体に贈られる。

 評価されたカフェは高知市桟橋通2丁目の「サンセットカフェ(サンカフェ)」。「さんかく広場」が2015年から県の委託を受けて取り組む就労障害者交流拠点事業「りんく・じょい」の一環だ。事業名には「人とつながることを楽しむ」という意味が込められている。

 事業を担当している同法人の伊藤英助さん(50)によると、精神障害がある人は1人でごはんを食べる傾向が強いという。伊藤さんは食事をしながら気兼ねなく愚痴をこぼし、気持ちを吐き出すことができる場が必要だと感じてきた。

 カフェを目指したのは「就職した精神障害者が1年以内に離職する割合は6割を超えている」という論文を目にし、解決策を考え始めたことがきっかけだ。

 伊藤さんは「人はなぜ働くのか」と自問を繰り返し、「人は生活を楽しむために働くのではないか」と結論づけた。楽しい暮らしを伝えるために、交流の場を思いついた。

 カフェでは月1回程度、交流会を開く。地域の人や精神障害者らが性別や年齢に関係なく集まる「りんく・じょい助っ人会」が企画運営する。これまでの交流会では、「お酒のたしなみ方教室」と題し、キリンビールから「お酒の上手な断り方」を習った。資生堂による「メイクアップ教室」では「リストカットの痕を自然に隠すメイクの方法」を教わった。

 交流会のイベント名や告知のチラシには、「障害者」という言葉を使わない。伊藤さんは「生活を楽しむことに障害者かどうかは関係ない。誰もが同じ立場で集まり、活動できる場所を作りたかった」と話す。

 精神障害をもつ高知市の福永梨那さん(26)は就職に向けて地域に溶け込もうと、16年夏から「助っ人」になった。「意見を出すことが苦手だったけど、助っ人会のミーティングでは積極的に話すことができる雰囲気がある。以前より明るくなり、普段の生活も楽しくなりました」

 カフェは火~土曜午前11時半~午後2時と午後4時半~7時半。問い合わせは「さんかく広場」(088・856・8866)の伊藤さんまで。(加藤秀彬)