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 子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)について、京都大は年度内にも、増殖を抑える化合物を使った治験を始める、と発表した。実用化されれば、国内では年間約1万人がかかり、約2700人が亡くなるとされる子宮頸がんの発症を防げる可能性がある。

 HPVは性交渉によって感染する。多くは数年以内に自然に検出されなくなるが、感染状態が持続すると、がんの前段階の状態を経て、一部の人でがんに進行する。感染を防ぐワクチンはあるが、接種後に健康被害の訴えが相次ぎ、厚生労働省は2013年6月、積極的な勧奨を中止。接種率は1%未満にとどまる。

 チームは、HPVが人の体内で増殖するのに利用する酵素の働きを抑える化合物を開発。HPVに感染させた人の細胞を使った実験で、効果を確認した。治験は、がんの前段階にある女性10人前後を対象に安全性を確かめた後、有効性を検証する。この成果は米医学誌に掲載された。

 チームによると、がんの手前の状態でリスクの高いケースは切除するしか治療法がなく、薬はないのが現状という。京大の萩原正敏教授(創薬科学)は「製品化できれば、世界初のHPV治療薬となる。体を傷つけない方法で治せるようにしたい」と話す。(野中良祐