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 ジョコビッチ戦で12連敗となった錦織が悔やんだ。

 「確実に勝てた試合だったのでもったいないですね」。またしても善戦止まり。しかも、逆転負けだ。

 右ひじの故障から復活途上のジョコビッチは3月に世界ランク109位のダニエル太郎(エイブル)に敗れ、4月には同140位の選手に負けた。なのに、錦織戦だと世界1位当時と遜色ないレベルにショットの質を上げてくる。前週のマドリード・オープンでも、ストレート勝ちした。

 なぜか。試合後、直接、ジョコビッチに尋ねた。

 錦織戦になると調子が上がる秘密は何ですか?

 「ケイ(錦織)のプレーは速い。相手に時間の猶予を与えない。だから、こっちも集中力が高まる。反応しなきゃいけないから」。納得の答えに思えた。続きがある。「僕らのプレースタイルは似ているから」。ベースラインで打ち合い、バックハンドのストレートなど得意技も共通する。頭脳派同士、駆け引きも楽しめる。

 この日、最終セットのスコアは3―6だったが、その内容は紙一重だった。

 第8ゲームで錦織がブレークポイントを迎え、次のポイントを奪えば4―4に追いついた局面は典型だ。「あそこを守れたのは幸運だった。ブレークされていたら、どう転んだかわからない」とジョコビッチ。

 ただ、錦織が劣勢に陥るのを示す数字もある。第1サーブの確率はセットごとに錦織が76%、58%、54%と低下したのに対し、ジョコビッチは64%、70%、67%と安定していた。

 最終セットでジョコビッチがサービスエースを奪った判定を主審が一度は取り消しながら、ジョコビッチの抗議で紛糾。錦織が相手の得点に譲る場面があった。「あの審判はたぶん、やめた方がいい。審判に流れを変えられた部分もあった」と錦織は苦笑交じりに愚痴った。いわゆる日本人らしいというか、少なくとも錦織らしい謙譲の精神でリズムが乱れ、直後のゲームをブレークされた。

 「まだメンタルの弱さというか、最後まで踏ん張りきれなかった」。錦織の自己分析による敗因だ。(稲垣康介)