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 山形大学工学部(山形県米沢市)の教授(現・特任教授)が工学部の倫理委員会の承認を得ずに採血が必要な研究を進めていた問題で、飯塚博・工学部長は16日、国の倫理指針で定められている事前の同意書がないまま、学生らから採血していた可能性があることを明らかにした。今後、大学本部が調査委員会を設置して経緯などを調べる。

 工学部によると、歯周組織やがん細胞に関わる研究の過程で、研究員らと学生に対して採血をしていた。1回の採血量は25ミリリットル程度で、4月の発表では計134回の採血がなされたという。

 しかし4月以降、卒業生2人から計11回分の採血の同意書が届いた。過去の研究の同意書が届いたため、工学部として、教授が事前に学生らに説明をして同意書を得ていたかの確証が持てなくなったという。

 また、新たに届いた11回分を含めた計145回分の同意書を確認したところ、教授と、採血を受けた学生らの直筆の署名がそろっているのは108回分だった。そのほかの同意書には、学生らの署名が直筆ではないものも含まれていたという。

 工学部によると、教授は2009年11月から歯周組織についての研究を始めた。倫理委の承認期間は12年11月までの3年間だったが、更新せず、その後も研究を続行。11年5月からはがん細胞に関わる研究も始めた。

 倫理委は15年に教授の二つの研究について時期をさかのぼって承認したが、これらの承認の経緯についても大学本部の調査委が調べるという。

 教授は朝日新聞の取材に対し「研究は健康長寿社会への貢献を目指したもので、研究員や学生から採血の申し出があり、始めた。今年4月の報道後、実験ノートを精査した結果、複数回採血した人の中には同意書が抜けていたことが分かった。それは私の責任だ」と話した。

 飯塚学部長は「教授の話がどこまで本当なのか分からない。私の確認も不十分でおわびを申し上げないといけない」と話した。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(石井力)