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 ポンペオ米国務長官は21日、ワシントンでの演説でトランプ政権の包括的な対イラン戦略を公表し、「歴史上最強の制裁を科す」として各国に同調するよう呼びかけた。一方でイランが核開発やミサイル発射を永続的にやめることの見返りに、米国が経済制裁の解除や国交回復に向けた行動を取る用意があると強調。「アメとムチ」で譲歩を迫るトランプ政権の外交姿勢を改めて鮮明にした。

 ポンペオ氏は、米英独仏中ロ6カ国とイランで2015年に結んだ核合意について「米国民の安全を保証しない」と批判。核合意離脱後の外交方針の第一として、「前例のない経済的圧力を加える」と強調した。また「イラン政権が方針を変えなければ、制裁は痛みを増す一方だ」とし、追加制裁を加え続けるとした。

 さらに「国防総省や同盟国と協力し、イランの敵対的な行動を抑止する」とした上で、イランが核開発を再開した場合は「イランは過去にない大きな問題に直面する」と牽制(けんせい)した。

 トランプ政権は今月8日、核合意からの離脱を表明した際、核合意に基づいて解除されていた経済制裁を8月と11月に再発動させる方針を示していた。

 ポンペオ氏は核合意に代わる「新たなディール(取引)」の用意があると表明。新合意の内容について▽核計画の完全開示と永続的な放棄▽ウラン濃縮の停止とプルトニウム生産の完全な断念▽核弾頭が搭載できるミサイルの打ち上げ、拡散の停止▽テロ組織支援の停止▽シリアからすべての部隊の撤退▽近隣諸国への脅迫行動の停止など12項目の要求を挙げた。

 さらにポンペオ氏は、イランが行動で重大な変化を示した場合の「見返り」も提示。①あらゆる制裁の解除②外交・通商関係の完全な回復③先端技術へのアクセス④イラン経済の国際経済システムへの再統合を支援するとした。

 ポンペオ氏は「(新合意)過程は米議会も関与する。トランプ政権後も持続する」とし、新合意の安定性を主張した。

 米国が再発動する経済制裁は、イランと取引がある欧州企業などにも影響が及ぶため、強い批判が出ている。ポンペオ氏は「(同盟国の)懸念は聞きたい」としつつ、イランへの圧力の必要性を強調した。

 さらに、「トランプ大統領の誠意を疑う者がいるならば、対北朝鮮外交を見るがいい」と指摘。6月に開催予定の米朝首脳会談を例に「たとえ敵であってもトランプ政権は最大の問題を解決するため外交手段に取り組むのだ」と述べた。(ワシントン=杉山正)

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