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 西武ライオンズが自治体と協力して、子どもを対象とした野球の普及に力を入れている。球団が2015年から取り組む「フレンドリーシティ」事業で、5月にはさいたま市と28市町目となる連携協力の協定を結んだ。小中学生を観戦に招待したり、OB選手が野球指導に訪れたりする。背景には、近年の「野球少年」の減少で「野球がマイナースポーツに転落しかねない」との危機感がある。

 全日本野球協会の調査だと、全国の小中学生で、部活動やスポーツ少年団で野球をやっている子どもは、協会加盟ベースで11年に約63万8千人だったのが、16年には約49万2千人と約3割も減った。別の民間の調査だと、10~19歳の「この1年間によくやったスポーツ」で、野球はサッカーに次ぐ2位になって久しかったが、15年にはバスケットボールにも抜かれた。

 「野球少年の減少率は、少子化の進行率を上回る。取り組むスポーツの多様化でも説明できない減り方だ」と球団は13年、「野球振興グループ」を立ち上げた。原因を探り、①子ども全般に運動離れの傾向がある②ナイター中継が減るなどして野球を知るきっかけが少ない③昔と異なり野球で遊ぶ場所もないため、総じて野球への関心が薄れている――と分析した。

 球団事業部のグループ担当・別府学さんは「学校から帰ったら三角ベース、父子でキャッチボールという光景は、今や珍しい。このままでは将来的にファンがいなくなり、有望な選手も出てこなくなる。野球界全体の危機」と話す。

 危機感は日本野球機構のセ・パ全球団で共有され、各球団も様々に取り組むが、ライオンズはきめ細かさと実施数で突出するという。同球団は、県内63市町村との連携協定締結を目標にしており、提携を結んだ市町では分析結果に基づき、「初心者には野球の楽しさを知ってもらう」「野球をしている子どもは適切な指導で伸ばす」の主に2系統で事業を行っている。

 未就学児には、ボールに親しんでもらう親子体験教室をOB選手が指導し、球団マスコットのレオとライナが幼稚園、保育園を訪問する。OB選手が小学校の体育の授業に来て正しい投げ方や打ち方、ミニゲームなどを指導する。

 多くの公園が「野球禁止」になっているため、管理者にかけあい、「エリアを決める」「危険防止に見守る大人をつける」などを条件に、昨年末までに県内12の公園で禁止解除にこぎつけた。公園にボールやグラブを寄付するほか、見守り役のボランティアの育成も進める。

 野球をやっている子どもたちのためには、OB選手の移動野球教室を年10カ所以上で開き、効果的な選手育成方法学んでもらうため指導者の講習会も開く。道具の購入費や遠征先への車の運転など負担が大きく敬遠する親も多いと、本格的からゆるやかまで、親のニーズと各レベルの少年野球チームをマッチングさせる事業も模索中だ。

 今年3月には、こうした事業をまとめて「L-FRIENDS(エル・フレンズ)活動」と命名。事業アピールのため、県内の全小学生と特別支援学校の児童に、ライオンズの野球帽計約30万個を配った。別府さんは「費用をかけてでも、ここまでしなければ。待ったなしの状況なのです」。(西堀岳路)