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 福岡市中央区の市立草ケ江小学校に、児童を見守る戦隊ヒーローがいる。超戦士草ケ江ヒーロー「グラスサイダー」。登校を見守り、入学式や卒業式、運動会にもかけつける。だってPTAの永久副会長なのだから。

 4月上旬。入学式でアップテンポの曲に合わせ、グラスサイダーが入場してきた。どよめきのなか登壇すると、まず保護者に身ぶりであいさつ。流される音声にあわせて「新1年生のみなさん、グラスサイダーのポーズを覚えてね」とポーズを決めた。あぜんとする新入生や保護者を置き去りにし、姿を消した。

 次いで登場したのは、5月1日の登校指導日。周りの視線を一身に集めながら通学路に立ち、子どもたちを見守りながら校門の前へ。児童の父親たちでつくる「おやじ組」のメンバーと一緒に、あいさつ運動を続けた。

 グラスサイダーは忙しい。すれ違う大人もあいさつするし、記念撮影も求められる。子どもに抱きつかれることもあれば、なかなか門に入れない児童の手を引いて登校することも。近くの病院を慰問したり豆まきに参加したり。地元の防犯ビデオに登場し、運動会ではダンスも披露。フェイスブックまで持っている。

 デビューは2012年。地域の秋のお祭りだった。「地元にヒーローがいたらいいよね」との声に背中をおされた。いまでこそPTAの永久副会長として地域では知られるが、当時は違った。

 「なんじゃあれ~!」。高校生たちに指をさされ、男児にいきなりおしりを蹴られた。赤ちゃんには泣かれるし、大人には振り向かれて、目を背けられ……。

 16年に草ケ江小に赴任した島居良法校長(58)も「まさか小学校にヒーローがいるとは思わなかった。でも、何よりも子どもたちが喜ぶし、我々も力をもらっています」と言う。

 正体は秘密で、取材もNGだ。でも、いろんな苦労があるに違いない。夏は暑いだろうし、体形維持も必要だ。おやじ組のOBで、グラスサイダーと連絡も取れるという葉山健太さん(53)に聞くと「夏は暑くてやばいそうです」。そして「大切なのは、どういう形で続けていくかですよね」と話した。

 「誰が入っとーと?」。そんな声もささやかれるが、それはそれ。あくまでも子どもたちのヒーロー。地域と子どもたちの安全安心を守るため、汗だくで今日もがんばっている。(谷辺晃子)