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 トランプ米大統領が6月12日に予定していた米朝首脳会談を中止すると表明した。核兵器の廃絶や日本人拉致問題の解決を望む人たちはそれぞれの思いで、今後の情勢を見つめている。

 「やっぱり」。長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(77)は会談の成功に期待をしていたが、米韓合同軍事演習をするなど、米国の態度に疑問も感じていた。「そもそも核保有国が生み出した現状。相手にだけ非核化を迫るのはおかしい。お互い謙虚な気持ちを持って、パイプをつないだまま話し合ってほしい」

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表委員、田中熙巳(てるみ)さん(86)は「まだ悲観はしていない」。北朝鮮の体制維持をトランプ氏が認め、北朝鮮が核実験場を爆破した流れを大きな変化と受け止める。「米朝会談は北朝鮮自身が最も望んでいたこと。核のない世界のためには、トップ同士の話し合いが必要だ」と話す。

 北朝鮮による拉致被害者の増元るみ子さん(当時24)の弟照明さん(62)は今回のトランプ氏の判断について「正しいやり方」と支持する。北朝鮮高官がペンス副大統領を「まぬけ」と批判するなど、ここ数日の北朝鮮側の態度を「過去とそっくり」と批判。「これまでも譲歩すると、ごまかされるという連続だった。今はいかなる妥協も許すべきではない。それが拉致、核、ミサイル問題の最終的な解決への正しい道だと思う」

 朝鮮半島の統一を願う音楽イベントを大阪や東京で毎年開いてきた在日コリアン3世の鄭甲寿(チョンカプス)さん(63)は、首脳会談が東アジアに根本的な平和をもたらす可能性があると考えている。「在日の生活も、南北関係とは切っても切り離せない。まだ軌道修正はできるし、仕切り直して開催につなげてほしい」と望んだ。

 街ゆく人たちからも驚きの声が広がった。「これまでの北朝鮮の姿勢をみていれば、こういうこともあるのだろう。残念だが驚きはない」。長崎市から出張で東京・新橋を訪れていた社会福祉法人理事長の松村正信さん(67)は言った。「長崎は核兵器による悲劇の歴史がある。あのような犠牲を生む争いは避けてほしい。近いうちにまた対話の機会があるかもしれないが、平和的に解決を目指してほしい」と話した。

 出張で上京していた大阪市北区の会社員男性(50)は「昨日深夜まで仕事をしていたらニュースが流れたのでびっくりした。ただ日本は一連の交渉の中に入れていないので、なぜ中止になったのか、今後どうなっていくのかなどまずは正しい情報をとってほしい。政府は国内の問題でばたばたしていて、それどころではないのかもしれませんが」と話した。