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 重量挙げの全日本選手権第1日は25日、石川県のいしかわ総合スポーツセンターで男女計5階級があり、女子48キロ級はロンドン五輪銀メダル、リオデジャネイロ五輪銅メダルの三宅宏実(32)=いちご=が、トータル181キロ(スナッチ78、ジャーク103)で優勝した。優勝に導いたのは「筋肉の記憶」と「東京五輪への覚悟」だった。

 勝負の分かれ目はジャークの2本目だった。1本目で挙げた98キロから、一気に102キロに設定。当初「4キロ(増)はきつい」と思ったが、父親で監督である日本ウエイトリフティング協会の三宅義行会長に「勝つための作戦」と押し切られた。「やるしかない」。あまりやらないギアチェンジ。一瞬むっとしたともいうが、そこは53キロ級のジャーク日本記録117キロを持つ三宅だ。「できる、筋肉は覚えているはず」。気合で持ち上げ、3本目には103キロまで伸ばした。

 「ほっとした」と、試合後の表情には安堵(あんど)の色が広がった。実は持病の腰痛に加え、約2週間前には右足付け根を痛めた。練習で挙げた重量はスナッチが72キロ、ジャークは97キロまでで、「6割ぐらい」というコンディションだった。

 今回は53キロ級ではなく、リオ五輪以来となる48キロ級を選んだ。全日本選手権では、実に2007年以来11年ぶり。練習不足で記録はそこまで伸ばせないという冷静な分析からだ。「脂質は1日60グラムまで」など、より食事に気を配り体を絞った。

 48キロ級でトータル197キロ、53キロ級で207キロの日本記録保持者の三宅だが、最近は故障との戦いが続き、思うように試合に出られていない。20年東京五輪への切符を勝ち取るには、今年11月にトルクメニスタンである世界選手権での活躍が必要だ。代表選出は9月ごろになる予定だが、今回の優勝で、三宅会長は出場に自信を見せる。

 東京五輪に出れば、04年アテネ大会から5大会連続出場となる。今年11月で33歳。周囲では衰えを指摘する声もあるというが「ピークから下がっていると思われるのは、悔しい。復活して、もう1回記録を出したい」。体を作り直し、まずは11月の世界選手権で、「三宅宏実」を再び世界にアピールする。(遠田寛生)