[PR]

 「LL(エルエル)ブック」を知っていますか――。長崎市立図書館(同市興善町)では、読むことが苦手な人でも読書を楽しめるよう、さまざまな図書を用意している。図書館の職員に、どんな本があるか紹介してもらった。

 海辺で偶然出会った若い男女。一緒にロールケーキを食べたり、怖そうな人から彼女を守ったり――。こんな恋物語が、写真だけで描かれる本がある。昨春に出版された「はつ恋」(樹村房)。字を読むのが苦手な人でも読みやすいように作られた、「LLブック」の一冊だ。

 LLは「やさしく読める」という意味のスウェーデン語の略。「ピクトグラム」と呼ばれる絵文字や写真が多く使われ、文章は全くなかったり、やさしく簡潔な表現で書かれていたりする。1960年代にスウェーデンから欧州に広まり、日本でも近年、少しずつ出版が増えている。

 元々はスウェーデン語が分からない外国の人や知的障害のある人向けに作られたが、最近では認知症患者や高齢者、読み書き障害(ディスレクシア)のある人といった、読書に困難が伴う人全般に対象が広がっているという。

 子ども向けの絵本との違いは、中高生以上の年齢層も対象としているところだ。「はつ恋」のような恋愛もののほか、化粧の仕方や、地震が起きた時にどう行動すればいいかを説明する本もある。このように、障害を持つ大人が楽しめたり、生活していくのに必要な情報を得られたりする図書はまだ多くないという。

 長崎市立図書館では9冊のLLブックを所蔵。職員が障害者サービスの研修を受けたり、県外の図書館と情報交換したりする中で本の存在を知り、一昨年に購入した。今後も冊数を増やすことを検討しているが、すでに絶版になっているものも少なくないという。

 LLブックは同図書館1階の「大活字本」の棚に並ぶ。こちらは2008年の開館当初から図書館にいる「先輩」。視力の低い人や高齢者向けに大きな字で書かれており、書庫を含め約3千冊が所蔵されている。中には、視力の低い人でも読みやすいよう、文字の色を白、背景を黒に反転させた本もある。このほか、視覚障害者向けの点字本や、読み上げ機能のある「マルチメディアデイジー」と呼ばれるデジタル録音図書、触って楽しめる「布えほん」なども置かれている。

 同図書館の担当者は「こうした図書は認知度が低く、本当に必要な人に届いていないのではと感じることがある。まずは存在を知ってもらい、色々な方に、色々な方法で本に触れてもらえれば」と利用を呼びかけている。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(森本類)