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 企業や自治体も対応を始めている。複数の損害保険会社は、賃貸物件のオーナー向けに、孤独死が発生した際、家賃や部屋の原状回復費を補償する商品を販売している。東京海上日動火災保険の「孤独死保険」は、2017年の契約件数が対前年比1・7倍に上るという。

 東京都足立区は「老い支度読本」を無料で配布し、4万部まで増刷を重ねた。親族の連絡先や財産、希望する葬儀の形式などが書き込めるようになっており、孤独死をしても生前の本人の意向がわかる。

 ただ、孤独死の発生状況について、朝日新聞が47都道府県に電話取材したところ、調査をしているのは北海道と鹿児島県のみだった。北海道は13年から「死後1週間を超えて発見された人」、鹿児島県は15年から「65歳以上の一人暮らしで誰にもみとられずに亡くなり、2日以上経った人」と定義し、市町村が把握できたケースを集計。最新の結果は、北海道110人(17年)▽鹿児島57人(17年度)だった。

 一方、調査をしていない都府県からは「国に定義がないことに沿っている」(神奈川県)、「孤立状態をどうとらえるかが難しい」(秋田県)、「正確に把握する方法がない」(大阪府)などの意見が挙がった。

 民間の調査機関「ニッセイ基礎研究所」(東京)は11年、東京23区での孤独死者数と全国の人口動態統計のデータを使って、全国の65歳以上の孤独死者数の推計値を出した。「自宅で死亡し、死後2日以上経過」を「孤立死」と定義した場合、年間で2万6821人にのぼったという。

 孤独死に詳しい日本福祉大の斉藤雅茂准教授(社会福祉学)は「高齢者の孤独死は、生前に身の回りの衛生管理や他人との交流が欠落している場合が多く、尊厳が保たれた最期とは言えない」と指摘。その上で「問題の規模感を把握し、対策を講じるためにも行政による調査は必要。定義は絶えずブラッシュアップすればいい。国や研究者が一定の定義を示し、地域に近い市町村や警察が連携しながら調査を進めるべきだ」と話している。(菅原普)