【動画】厳しい環境で過ごすバングラデシュ難民キャンプのロヒンギャたち=染田屋竜太撮影
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 ミャンマー・バングラデシュ両政府がイスラム教徒ロヒンギャ難民の帰還に合意して半年。だが難民らは戻ることへの不安を抱えている。一方、半ば定住化する難民に対しバングラデシュ側からは不満も上がる。両政府の動きは鈍く、難民らの声は置き去りにされている。(コックスバザール〈バングラデシュ南東部〉=染田屋竜太)

「暮らしの保証ない」

 「ちゃんと国籍をもらって安全に暮らせる保証がない」。バングラデシュ南東部コックスバザール郊外にあるジャムトリキャンプの一角、テントシートや竹などでつくった仮設住居で、アブドゥ・ラフマンさん(33)が言葉に力を込めた。

 今年1月、バングラデシュ政府の役人が「帰還者リストに名前が載っているから家族構成を教えてほしい」と訪ねてきた。「その後、何の音沙汰もない。本当に私たちは選ばれたのでしょうか」

 ミャンマーの出入国管理・人口省に尋ねると、ラフマンさん一家7人は「最初に帰還を受け入れる」と3月に発表した374人のリストに入っている。しかし同省の担当者は「帰還の意思確認はバングラデシュ政府の仕事だ」という。

 ラフマンさんらは昨年8月、ロヒンギャ武装組織に対するミャンマー政府の掃討作戦開始直後、同国ラカイン州マウンドーの村を脱出。山道を歩き、森の中で数日を過ごし、バングラデシュ側に入った。多くのロヒンギャと同じくミャンマー国籍がない。

 ミャンマー政府はロヒンギャへの国籍付与については「必要な手続きをする」としながら明確な説明をしていない。ラフマンさんは「戻りたい気持ちはある。でも安心して暮らせるとはとても思えない」と話す。

 一方、バングラデシュの難民キャンプにいたロヒンギャ約60人が正式な帰還手続きを経ずにミャンマー側に入ったことが27日明らかになった。ミャンマー政府当局が拘束した後、難民の一時滞在施設に送った。

 そのうちの一人、ソーユ・サラムさん(48)は28日、ラカイン州を視察した日本の大使らに「政府が帰還を話し合っているなんて知らなかった。とにかく自分の国に戻りたかった」と話した。

「定住化」に地元不満

 キャンプでの生活が長引き、難民の定住化が進む。

 ロヒンギャ難民のスルタン・アフメドさん(50)はコックスバザール郊外、クトゥパロンキャンプ近くの路上で、テントでこしらえた雑貨店を営む。昨年8月、家族5人でラカイン州マウンドーから逃げた。生活するうち「調理器具や家族の服を買いたい」と思うようになった。

 国際機関の配給品を地元のバングラデシュ人らに売って少しずつお金をため、今年3月、3千タカ(約4千円)の元手で店を始めた。今の収入は1日約300タカ。いずれミャンマーへ戻りたいが「今はこちらの暮らしの方がいい」。

 キャンプ近くの地元住民によると、今年に入り、バイクタクシーや飲食店の仕事をする難民が一気に増えた。洗濯店を家族で営むバングラデシュ人のスニル・ダスさん(40)は「安い賃金で働く難民のせいで地元の経済がめちゃくちゃになった。いつになったら帰還が始まるのか」とこぼす。

 キャンプ内でも食品や衣服を売る難民向けの「商店」が軒を連ね、生活基盤ができつつある。

 バングラデシュ政府によると、約40万人が住んでいた地域に約70万人の難民が入り込み、森林伐採で環境が悪化するなどの問題が起きている。難民帰還を担当する同国政府のシャムサッド・ドウザ氏は「同じイスラム教徒として受け入れていた住民の不満が次第に高まっている」と説明する。

■両国の事情で…

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