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 全身にさまざまな症状が出る難病のハンター症候群に対して、製薬会社JCRファーマ(兵庫県芦屋市)は28日、6月にもブラジルで新薬の治験を始めると発表した。脳の血管の「関門」を通過させ、脳にまで薬を届ける、新たな技術を使う。うまくいけば、アルツハイマー病など、ほかの脳の病気にも応用が期待できるという。

 ハンター症候群は、関節のこわばり、気管支や心臓の病気などが起こる難病。特定の物質を分解する酵素をつくれないか、その働きが悪いために、全身の細胞で不要になった物質がたまることが原因とされる。知的障害を伴うことも少なくなく、今回の治療薬では知的障害の改善をめざす。

 酵素を点滴で補う治療法があり、体の症状は改善できるようになった。しかし、脳には、不要なものが入らないようにする「血液脳関門」とよばれる仕組みがあり、この酵素が届かなかった。

 同社は、血液脳関門が、脳が必要とする物質については通す仕組みを利用して、酵素を運ばせる技術を開発した。動物実験で効果を確認。日本では昨年、治験が始まった。海外では今回が初めてで、米国でも準備中という。

 脳の関門を通過しないために、開発が断念された薬は多数あり、通過させる技術はアルツハイマー病などの治療薬の開発のカギとされている。

 

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(編集委員・瀬川茂子