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 富士山への登山者が増加傾向にある中で、須走口(小山町)からのルートは伸び悩んでいる。7合目近くまで樹林帯があり、独自の魅力を備えた登山道。町では須走口を活性化しようと、ガイドの育成やインフォメーションセンターの整備など様々な対策に取り組もうとしている。

 須走口登山道の歴史は古く、江戸時代には大勢の登山者でにぎわった。小山町や山小屋関係者によれば、富士スバルラインの開通(1964年)で山梨県側の吉田口が一気に便利になり、須走口からの登山は減少した。世界遺産ブームで登山者が全体的に増えてからも伸び悩み気味。「ずっと富士宮口の半分程度で推移していたのが、昨年は3分の1になった」(町商工観光課)。富士登山者の多さが「神聖さを阻害する」との指摘を受け、今年ユネスコに提出する報告書には吉田口と富士宮口の登山者数の指標が盛り込まれるが、須走口は含まれない。

 登山者の減少は山小屋の経営を苦しくしている。須走ルートの12軒のうち、吉田ルートと合流する8合目の手前、6、7合目の5軒がとくに厳しい。アルバイトをできるだけ雇わず、夫婦らでやりくりしている。町では「小屋が一つでもなくなると、トイレの問題などでルート全体の存亡にかかわる」と危機感を示す。

 何とか登山者を増やそうと、町では今シーズンから登山ガイドの認定制度を始めた。町のお墨付きで登山者に安心感を与えようという狙い。3年以上の経験者で山小屋の推薦を受けた26人がこれまで登録された。

 また、6、7合目の山小屋への誘客策として、シャクナゲや星空の観察会も企画。増えている外国人登山者を呼び込むため、登山口に配備する外国語ナビゲーター(案内人)も、対応言語を増やすなどして充実させている。

 さらに、町が国に設置を訴えているのが、5合目へのインフォメーションセンターの設置。現在の観光案内所は警察官詰め所と併設され、他の登山口の施設に比べて小規模だ。計画中の施設では、ひとシーズンに約千人いる吉田口から過って下山してくる道迷いの誘導や、ゴミ、排便などのマナー啓発を行う。広さを確保し、豪雨時はシェルターになる。環境省の施設として建設し、町が管理・運営を行うという。町では「須走口の魅力を高める一助にしたい」としている。(六分一真史)