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 死後の葬儀やお墓に不安を抱える高齢者を支える事業について、神奈川県大和市は28日、葬儀と納骨の「生前契約」を支援する対象を拡大すると発表した。「身寄りが無く、経済的に困窮している人」としてきた従来の制限をなくす。同時に相談体制を拡大し、多様な葬儀の形に対応したり、遺言や遺品整理などを検討したりするため、業者や専門機関と連携を進める。実施は6月から。

 葬儀の生前契約など「終活支援」は、所得の低い人がお墓を持ちにくいことなどへの対応のため、横須賀市などが全国に先駆けて取り組み、大和市も2016年に始めた。制限をなくすのは全国でも珍しい。

 大和市は生前契約制度対象を「不動産がなく月収16万円以下」「葬儀をする身寄りがない一人暮らしや夫婦や兄弟姉妹のみの世帯」などとしてきた。今後は、経済的状況や別居の親族の有無は問わない。

 市健康福祉総務課によると、これまで150件以上の相談があったが、契約に至ったのは1件だけ。しかし、「甥(おい)や姪(めい)、きょうだいなど離れた親族がいても連絡をとっておらず、葬儀で迷惑をかけられない」「収入はあるが独り身で葬儀が不安」など、切実な声が寄せられている。「死後の不安や関心は幅広く、身寄りや経済面に限らず、どの市民にも同様にあるとわかった」という。

 そこで今回、市は事業を主に困窮者への対策から一般の福祉施策に変更。「おひとり様の終活支援事業」としてリニューアルする。

 専門相談員の「終活コンシェルジュ」を置き、相続や税金・入院費の支払い、家財道具処分などの内容に応じて法律などの専門家につなぐ。遺言や死後の事務委任契約の作成、成年後見人の問題も想定。行政書士会や司法書士会と対応法を構築中という。

 支援の登録者は年間数十人を想定。希望するお墓の場所や契約した葬祭事業者、遺品整理の委任先などの情報を管理し、希望があれば知人や親族に伝える。

 葬儀の費用は、所得が低い人への扶助基準(約20万円)を上限としてきたが、相談者の意向に沿った内容とし、上限を超すものを含めていく。一般の葬儀のほか樹木葬や海への散骨なども想定し、葬祭業者ごとに対応できる情報を提供する。大木哲市長は「人生の卒業を迎える準備を支え、安心感を持って暮らしてほしい。ニーズをとらえ随時、発展させていく」と話す。

 

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(吉村成夫)