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「終活」を考える

 最近、自分の葬儀について考えるようになりました。家族に負担をかけないように簡略な葬儀を考えていますが、どんな準備が必要ですか。

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 葬儀で困る人は多くいます。身内が亡くなるなどで慌ただしい中、どうしたらよいかわからないのに、決めなければならないことが多いからです。

 千葉県在住の80代男性のAさんは妻と2人暮らし。明るく社交的でしたが突然の体調不良で入院し、数日後に亡くなりました。同年代の妻のBさんは悲しみと不安で思考がストップ。支える長男と長女も初めての経験で、どの葬儀社を選んでよいかわかりません。Aさんの「葬儀は身内だけで行ってほしい」との言葉を思い出し、近所の葬儀社に依頼しました。

 葬儀社からは病院の霊安室からどこへ搬送するか聞かれ、近所に知られないよう別の場所に安置することにしました。見積書の作成では菩提(ぼだい)寺、親族と参列者の人数、葬儀を行う場所、祭壇、棺、料理、返礼品などを次々に決めていかねばなりませんでした。

 さらに遺影の写真選び、僧侶へのお布施や喪服の準備も必要でした。葬儀を終えても、悲報を知った近所の人や知人らが訪ねて来て心が休まりませんでした。

 亡くなる本人は、家族の負担を気にして、費用や葬儀のわずらわしさを軽減しようとしがちです。しかし遺族は、葬儀を終えた後も親戚や故人の知人と付き合っていかねばなりません。費用を抑えるのも大事ですが、周囲の人たちの心情も考える必要があります。故人と付き合いのある人にも声をかけ、葬儀の場でお別れをした方が、遺族の負担が軽い場合が多いのです。

 葬儀の後も、役所の手続きや財産調査、遺産分割、納税などさまざまな相続手続きがあります。だからこそ、遺族が葬儀で困らないよう、事前に自分の葬儀について考えておくことが大切です。訃報(ふほう)通知の連絡先、菩提寺がある場合は連絡先と宗派、遺影写真の候補の場所がわかるだけでも遺族は助かります。

 突然の葬儀社探しで困らないように、事前に葬儀社を訪ねて見積書をつくってもらえば安心です。注意点は、送る側と送られる側が一緒に行くこと、タイプの違う複数の葬儀社に足を運ぶことです。

 本人が望む葬儀も大切ですが、葬儀を行うことになる家族が、葬儀の流れや疑問点などを葬儀社に確認しておくことが重要です。要望も人それぞれなので、自分に合った葬儀社を探すことが大切です。実際に足を運び、話をすることで葬儀社の特徴がわかります。

 突然の葬儀では、自分たちが望む葬儀社を見つけるのは難しく、予備知識がないと慌ててしまいます。それらを防ぐためにも事前の準備が大切です。

 最近は葬儀を簡略的に済ませる傾向があります。付き合いがない人も多く参列する葬儀ではなく、身内や知人でゆっくりお別れしたい思いが家族葬という形になりました。葬儀は行わず、火葬のみでよいという人もいます。

 このように、葬儀をしてもらう側が要望を残し、遺族がその通りに行うケースが増えています。ただ、葬儀は亡くなる人のためだけでなく、残された人たちのためにも行うものです。それを念頭に考えてみるのがよいでしょう。(相続・終活コンサルタント 明石久美)