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 全国高校野球選手権三重大会を中継する三重テレビ(津市)のアナウンサー、若林希(のぞみ)さん(29)は、今夏の100回大会で初めて実況に挑戦する。「100回の節目にこんな話をいただいてありがたい。先輩のバトンを引き継げるように頑張りたい」

 実況担当を告げられたのは昨夏。昨秋や今春の県大会のスタンドで、試合を見ながら実際に声を出し、練習を重ねている。

 横浜市出身。中学ではソフトボール部。「さあ来い、とか声を出すのが楽しかった」。高校ではソフトテニスに打ち込んだ。大学時代はアナウンサーを目指して放送研究会に入り、高校野球やプロ野球には特に興味はなかったという。

 2011年、三重テレビに入局。1年目に三重大会のダイジェスト番組を担当することになった。「最初は番組の時間内に、どれだけの情報を入れたらいいのかも分からない。休みの日に球場や学校に通ってがむしゃらに取材しました」

 1年目の夏、忘れられない光景があった。敗れた学校が球場の外で、最後に行うミーティングだ。「みんな一言ずつ話して、怖かった監督も泣きながらメッセージを残す。すごい青春だなと思って、カメラで撮りながら自分も涙が出ました」

 以来、ダイジェスト番組を担当し、高校野球の取材を重ねてきた。球児の母がスタンドで祈るようにうずくまっている姿を取材して放映した後、無口だったその球児と打ち解けるようになった。3年間密着した選手から、卒業式の日に「3年間取材してくれてありがとうございました」と言われた。

 数年前から三重大会決勝の日のダイジェスト番組の最後に、大会中の印象深いシーンを流している。若林さん自らが企画し、カメラも回してナレーション原稿も書く。「高校野球は戦っている選手だけではない。映像を通じて、選手と、ベンチ外の子や家族との気持ちをつなげたい」

 昨夏は、連合チームとして最後の大会となった名張桔梗丘・名張西・名張青峰、11年ぶりの夏勝利を収めた白山の球児や応援団が、万感を込めて校歌を歌う姿をまとめた。

 今夏は2~3試合の実況を担当する。競技経験者ではない女性だからこそ、果たせる役割もある。「ルールを知らないお母さんが見ても、(球児は)頑張っていると思ってもらえる実況ができればと思います」

 伝統校のスタンドで、高齢の元球児が集まって応援し続ける姿を見ると、歴史の重みを感じる。「卒業しても高校野球を愛し続ける人たちがいる。歴史に関われるのはありがたいし、心に残る試合が届けられたら、ステキですね」(広部憲太郎

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