秋田)イージス・アショアの説明、わずか40分間

石川春菜、村山恵二 野城千穂
[PR]

 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備候補地に秋田市の名前が挙がって半年。1日、ようやく防衛省から県と同市に正式な伝達があった。だが、説明時間は約40分間にとどまり、首長や地元住民からはさらなる説明を求める声が相次いだ。

 説明会は県庁で午前9時から開かれた。福田達夫防衛政務官は、秋田市を配備候補地とした理由として、①日本海側で北と西に1カ所ずつ②地形的にレーダーが遮蔽(しゃへい)されない③自衛隊の所在地で速やかに配備できる――などを挙げ、「夏以降、地盤測量と電波の調査をさせていただきたい」と理解を求めた。

 一方、佐竹敬久知事は地元住民の不安や市民生活への影響を強調した。

 候補地の陸上自衛隊新屋演習場は南北2キロ、幅800メートルほどで「実射訓練が困難な狭い土地。周辺に緩衝地帯が全くない」と指摘。周りは住宅が密集するほか、スポーツ施設や公共施設が隣接し、建物から演習地が丸見えだとして、「(レーダーの)電磁波の人体への影響と、周辺の航空運航規制、テロなどの不安に具体的な内容で説明してほしい」と求めた。

 穂積志(もとむ)市長は「地域住民、県民に複数回の説明会を開いてほしい。不安を払拭(ふっしょく)したうえで調査に入ってほしい」と要望した。

 これに対し、福田政務官は「最終候補地ではなく、最適候補地。『(配備)ありき』ではない」と述べ、まずは調査を先行させたい考えを示した。

 県や市は1時間半ほどの説明会を想定していたという。終了後、佐竹知事は「あっという間。答えられる質問はあったのではないか」と不満を漏らした。穂積市長は「疑問に答えていただいたうえで、市民の理解が得られるか判断しないといけない」と話し、国のやり方を牽制(けんせい)した。

住民説明会求める声

 この日の説明を受け、県と市は、住民説明会の開催を求める申入書を今月中旬にも防衛省に提出する。

 福田政務官も説明会後、「(演習場は)住宅地に非常に近い。住民への影響は十分に配慮する」と述べ、住民説明会について「できる限り多く開催したい」と前向きな考えを示した。

 施設に関する情報が限られる中、地元住民は不安を募らせている。1日、県庁前に集まった「イージス・アショア問題を考える新屋住民の会」代表の佐藤信哉さん(56)は「国は誠意ある対応をしてほしい。これは長い闘いになりそうだ」と話した。

 配備に反対する別の市民団体も「イージス・アショアはいらない」などとシュプレヒコールを上げた。

 「県民の会」の渡部雅子さん(75)は「米軍基地が無い平和な県であることが秋田の自慢だ」。他の参加者も「配備は安倍政権のトランプ大統領への忖度(そんたく)だ」「人口減の秋田に移住する人が、さらにいなくなる」と話した。(石川春菜、村山恵二)

秋田市民 賛否両論

 秋田市民は「イージス・アショア」が身近に来るかもしれないことをどう思っているのか。新屋演習場から約5キロ東のJR秋田駅周辺で尋ねると、賛否さまざまな声が聞かれた。

 主婦の女性(70)は「(テロなどで狙われ)余計に危なくなるのではないか」と不安を覚える。市内には子どもや孫も住む。「自分は年を取ったからよいが、孫たちには危険な思いはさせられない」

 60代の主婦も「騒音や電磁波の影響など、新屋周辺の人たちのことを考えると簡単に賛成できない」と話す。「無ければ危機が迫るというくらいに、どうしても必要なのか。現時点では必要性が感じられない」

 一方、会社員新井義久さん(51)は「日本のどこかに置かなければならないなら仕方ない」と考える。「電磁波の影響が不安と言うけれど、日頃使っている携帯電話や電子レンジだって発している。細かいことを気にしても仕方ない」。北朝鮮情勢の変化についても「今後どうなるかはまだわからない。備えあれば憂い無しだと思いますよ」。

 女子高校生(15)も「迎撃の正確性がどの程度あるのかわからないけれど、配備によって安全性は上がる」。一方で「配備場所が知られたら、確かに攻撃されやすくなりますね」と不安も口にした。(野城千穂)