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 「10日間以上」のままでいくのか、日数を減らすのか、それが問題だ――。

 2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会が、この秋から8万人の募集を始めるボランティアについて悩んでいる。3月に公表した募集要項案では「合計で10日以上活動出来る方」を条件の一つとしたが、仕事が忙しい現役世代から「そんなに休めないよ」と不評を買った。募集要項案をさらに練り上げて7月までに完成させる募集要項で、活動日数を緩和すべきなのか。

 有識者の意見も割れている。「私は7日間を提案した。平日5日間+土日という組み合わせで比較的やりやすいんじゃないかと」

 5月28日、メディアに非公開で行われたボランティア検討委員会の後、二宮雅也・文教大准教授は記者団に明かした。検討委員会は、組織委が有識者の意見を聞く場だ。日本財団ボランティアサポートセンター参与の肩書も持つ二宮氏は、「ボランティアの味方でありたいとの立場で意見を述べた。組織委は『多様な方々に参加して欲しい』と言っているが、働いている方や子育て中の方にとって、10日間という数字は少し厳しいのではないか」。

 オリンピアンで、かつ子育て中の母として検討委に参加する00年シドニー五輪競泳代表の萩原智子さんは「より多くの方々が関われるように、例えば3日間以上でも応募できるようにするなど、幅を持たせてはどうか」と話す。

 募集要項案で組織委が「10日間以上」とした根拠は、12年ロンドン、16年リオ大会でも「10日間が条件だったから」。検討委ではこれを支持する声も上がった。今年中に募集を終えた後、来年からは採否を決める面接、説明会、種々の研修が20年夏の五輪開幕直前まで続く。言わば手間ひまをかけてボランティアを養成していくわけで、「ある程度の日数は参加して欲しい」という思いが組織委にはある。「10日間といっても、連続する10日でなくてもいい。そうした点を丁寧に説明していきたい」

 そしてもう一点は、ボランティア一人一人の満足度の問題だ。二宮氏は「日数をただ短くすればいいというものでもない。ボランティアもチームプレーなので、活動日数が伸びるほどチーム力も上がっていき、喜びも得られる。そこが妨害されると、結果的に満足度を下げてしまうということにもなりかねない」と指摘する。

 活動日数に加え、交通費の問題も焦点になっている。地方都市から東京までの交通費は、残念ながら支給されないことが決まっている。では家から通う首都圏近郊のボランティアに対しては、競技場などの活動場所までの交通費は支給されるのか、されないのか。

 こちらも検討委では「活動する環境を整えるという意味でも、それぐらいは支給していいのではないか」「だが、地方から来てくれる方との公平性の問題がある」「ボランティアのユニホームを着ている方は、都内の公共交通機関は無料で使用できるようにすればいい」など、様々な意見が飛び交ったという。

 東京五輪・パラリンピックのボランティアについては、こうして記事が出たり話題が上ったりするたびに、「ブラックだ」「やりがい搾取だ」との批判がネット上に上がる。一方で、都や組織委が主催する「ボランティアシンポジウム」の類いには毎回、定員を上回る数の人が詰めかけるなど関心の高い人も多い。

 組織委の担当者は、「どういう条件なら8万人、もしくはそれを超える多様な方々が応募してくれるのか」。7月まで、難しい決断を迫られる。(平井隆介

ボランティア募集日程

2018年7月  募集要項の発表

9月中旬~12月 ウェブ上で募集

2019年2月~ 面接・説明会

   10月~ 共通研修

2020年4月~ 役割別研修・リーダーシップ研修

   6月~ 会場別・配置場所別研修