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 計約2万人の会員を有する日本感染症学会・日本化学療法学会の合同学会があ5月31日、岡山市で始まった。会場には朝から医師や研究者ら約1300人が詰めかけ、11会場に設けられた多彩な学術企画や研究発表に参加した。

 合同学会初日の31日、午前のシンポジウムで、山口大の前田健教授(獣医微生物学)がマダニを介してウイルスが感染する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が猫でも症例が増えていると報告した。

 SFTSは2009年に中国で患者が報告され、日本では13年に山口県で確認された。患者は5~8月に多い。今年4月25日までに324人の患者が届け出られ、2割が死亡した。

 シカなど野生動物とマダニの間でウイルスがやりとりされ、マダニにかまれた人が感染すると考えられていたが、16年に衰弱した猫にかまれた女性が発症し死亡した。

 前田教授はこれまでに猫の発症は32匹確認されているとし、そのうち中四国と九州などの9匹を山口大が詳細に調べ、今回、報告した。発熱や食欲不振、嘔吐(おうと)や黄疸(おうだん)などの症状があり、9匹のうち7匹は死亡したという。

 また昨年6月、発症した飼い犬から感染した人がいたことも併せて紹介した。

 この犬と飼い主の事例は国立感染症研究所ウイルス第一部の西條政幸部長が詳しく報告した。西條部長の報告によると、犬の発症から10日後に飼い主の40代男性が発熱や関節痛、下痢などの症状を起こした。マダニにかまれた形跡はなかった。病院を受診し、回復した。西條部長によると、素手で直接触れるなど、看病の際、犬と濃厚に接触したのが感染の原因と見られるという。

 前田教授と西條部長によると、人と猫は感染しにくいが、発症すると重症化しやすく、注意が必要だ。

 では、犬や猫などの伴侶動物とどう付き合えばいいのか。前田教授は「マダニ駆除薬の利用は必須。犬猫が外から帰ってきたらブラッシングしてマダニをチェックする。過剰な接触は避けましょう」と話す。西條部長は「原因不明で具合の悪いペットに接する場合は、十分に注意しながら看病してあげてください」と呼びかける。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(中村通子)