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 大和証券グループ本社は子どもの貧困問題に取り組む団体に、5年間で1億円の寄付をするプロジェクトを始めた。その理由は。中田誠司社長(57)に聞いた。

 ――なぜ証券会社が子どもの貧困問題に取り組むのですか。

 「証券会社は資本主義の象徴的な存在だ。そして、資本主義は格差を生む。だから、本業で稼いだお金を子どもの貧困の解決に少しでも役立てたい。そんな思いで取り組みを始めた」

 ――何かきっかけがあったのですか。

 「最初に意識したのは、20年前。都内の幼稚園に私の長女が入園したことがきっかけだ。きれいに着飾った園児、それを祝う保護者たち。どこにでもある当たり前の風景と思っていた。だが、ふと見ると、園の隣には児童養護施設があり、身寄りのない子どもたちが暮らしていた。そのギャップに胸が詰まった」

 「あらためて周囲を見渡すと、長男の通う公立小学校でも給食費を払えない家庭があった。当時は事業法人部門の管理職だった。取引先の玩具メーカーのおもちゃを付き合いで買っていた。それを施設に贈ることにした。クリスマスに匿名でプレゼントを続けた」

 「いま、日本の子どもの貧困は7人に1人と言われている。何とかしたいと、ずっと思っていた。昨年4月に社長になり、社として取り組むことを決めた」

 ――具体的には。

 「公益財団法人パブリックリソース財団とともに『こどもスマイルプロジェクト』を立ち上げた。5年間で1億円の寄付を想定した基金をつくり、2月から問題に取り組む団体への助成を始めた」

 「初年度は104件の応募の中から、特定非営利活動法人『SOS子どもの村JAPAN』(福岡県)、同『PIECES』(東京都)、同『Learning for All』(同)の3団体を選考。里親育成や学習支援などに取り組む団体で、1件につき年間300万円(最大3年間)を支援する」

 ――今後、どのような活動をしていきますか。

 「継続的に取り組みは続けていく。また、具体策は検討中だが、証券業として『お金の教育の授業』もやりたい」

 「もちろん、一企業が社会問題を解決できるとは思わない。それでも市場経済のど真ん中にいる人間として、できることを考え続けていきたい。子どもの貧困問題は、我々『大人の問題』でもあるのだから」(聞き手・大和田武士)

     ◇

 なかた・せいじ 1960年生まれ。東京都出身。83年に大和証券に入社。事業法人営業、商品戦略、経営企画などの部長を歴任。2012年に専務取締役、17年に大和証券グループ本社取締役兼代表執行役社長・最高経営責任者(CEO)に就任。