天皇、皇后両陛下は9日、福島県を訪れた。来年4月の退位を控え、平成最後となる全国植樹祭に出席するためで、東日本大震災の被災地への訪問は今回が在位中最後となる見通し。沿道などには約1万人の住民らが待ち受け、両陛下は速度を落とした車中などから手を振ってこたえた。

 両陛下は新幹線臨時専用列車で郡山駅に到着後、約1時間半かけて車で高速道などを移動。いわき市の県復興公営住宅北好間団地を訪れた。県によると、東京電力福島第一原発事故の影響で富岡町や大熊町など5町1村から267世帯441人(5月末時点)が避難している。

 両陛下は待ち受けた住民に歩み寄り、一人一人に声をかけた。天皇陛下は避難生活の様子を気に掛け、「ずいぶん怖い思いをされたでしょう」といたわった。皇后さまは後列に並んだ住民にも近づき、「ここまで大変でした」「復興が少しでも進むよう願っています」と話した。

 続いて集会所に入り、富岡、大熊、双葉、浪江の各町から避難している4人の入居者と懇談した。双葉町の渡部勝以(かつい)さん(68)はこれまで数カ所を転々とし、車内で寝泊まりしてきたことなどを説明。両陛下は熱心に聴き入り、皇后さまは「大変でございましたね」と声をかけた。

 浪江町の佐々木繁子さん(68)は民俗芸能の田植え踊りの再興を目指していることを紹介。天皇陛下は「色々と人を結びつけることになるんでしょうね」と話していた。

 懇談の最後に、天皇陛下は4人を前に「ご苦労も多かったと思いますが、それを乗り越え、良い生活を築いていかれるよう願っています」と語りかけた。

 夜には、両陛下は宿舎の「スパリゾートハワイアンズ」でダンシングチームによるフラガールの踊りを観賞した。ハワイアンズは震災で損壊して全面休館になり、フラガールも一時は踊る場所を失ったが、全国巡業するなどして復興の象徴的存在となった。

 約4年間にわたりチームを率いた猪狩梨江さんが両陛下を先導。復興支援ソング「花は咲く」など3曲に合わせた踊りが披露され、両陛下は盛んに拍手を送った。キャプテンの鈴木晴奈さんは「震災後、何回も両陛下が福島に足を運んでくださったおかげで復興につながった。感謝の気持ちを忘れずに、これからも復興に向けてお力添えできれば」と涙ながらに話した。(島康彦、緒方雄大)