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 京都銘菓「八ッ橋」の老舗大手「井筒八ッ橋本舗」が4日、ライバル社の「聖護院八ッ橋総本店」に、創業を元禄2年(1689年)とする表示の使用禁止と、600万円の損害賠償を求める裁判を京都地裁に起こした。井筒は「創業年が事実と違い、そのころに八ッ橋は存在しなかったはず」と主張。聖護院は「提訴は驚くばかり。対応を検討する」としている。

 訴状によると、聖護院はのれんや看板などに、「創業元禄二年」「since1689」と記している。当時、八ッ橋が作られていたとする文献はなく、八ッ橋を320年以上にわたり作っているように客や取引先を誤認させていると主張。聖護院が1969年、創業の由来を同業者に説明した文書では「正確な創業年は『不詳』」とされていたとも指摘した。

 井筒は文化2年(1805年)創業という。同日、記者会見した津田佐兵衛(さへえ)代表取締役(94)は「創業年がでたらめだ。業界全体への影響が大きく、やめてもらいたい」と述べた。

 八ッ橋は、江戸初期に活躍した近世箏曲の祖・八橋検校(やつはしけんぎょう、1614~1685)をしのび「琴の形状を模した干菓子」とする説がある一方、愛知県の寺のカキツバタと橋の図柄にちなんだとの説もある。いつ誕生し、いつ八ッ橋と名づけられたかは確定していないとされる。

 井筒によると、聖護院は10年ほど前から創業年を強調した表示を開始。井筒も加盟する業界団体「京名菓八ッ橋工業協同組合」が昨年5月、聖護院に根拠のない表示の中止を求め、京都簡裁に調停を申し立てた。聖護院は「民事紛争に該当しない」と訴え、調停は不成立に終わった。

 民間調査会社によると、井筒の売上高は29億2千万円(2017年6月期)で、聖護院の売上高は23億8千万円(16年10月期)。(徳永猛城)