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 シャープが東芝のパソコン事業を買収する方針を固めた。すでにパソコン生産から撤退していたが、親会社が鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)となったことで再参入へ方針を転換した。東芝は、赤字が続く同事業を切り離して経営再建を加速させる。

 シャープは、東芝のノートパソコン「ダイナブック」を製造販売する子会社「東芝クライアントソリューション」の株式の過半を今秋にも引き受ける。買収額は50億円前後とみられる。近く東芝と契約する。

 東芝は1985年に世界初のノートパソコンを発売し、一時は世界シェアトップを誇った。だが、中国などの新興メーカーが安値を掲げて参入し、スマートフォンやタブレットとの競合も激しくなった。2015年には利益を水増しする不正会計が発覚。いったんは富士通などとの事業統合を模索したが、不調に終わった。その後も、収益源の半導体メモリー事業の売却で「稼ぐ力」が落ち込むなかで、不採算のパソコン事業の売却先を探していた。

 シャープは「メビウス」のブランドでパソコンをつくっていたが、8年前に撤退した。一方、16年にシャープの経営権を握った鴻海は、米国のパソコン大手から生産を請け負うなど、安く大量につくるノウハウを持つ。鴻海出身の戴正呉(たいせいご)・シャープ社長は「またIT機器に参入したい」と再参入への意欲を示していた。

 ただ、「メビウス」の知名度はすでに低く、鴻海もPCメーカーとしてのブランド力は高いとはいえない。人気ブランドの「ダイナブック」を手に入れることで、一気に販路を広げていくとみられる。

 シャープは、液晶パネルの生産が事業の主力となっている。自社でパソコンを手がけることができれば、液晶工場の稼働率も高められると見込む。ITと家電の融合にも力を入れており、東芝の技術を取り込んで成長につなげる考えだ。