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寄稿 角田光代さん

 この映画を見ていると、近年新聞で見た見出しや記事が次々と浮かんでくる。生活扶助費の削減計画、子どもの貧困、児童虐待、年金不正受給。子どもに万引きをさせていた親が逮捕されるというニュースも、現実にあった。それらのニュースを見聞きしたときにわき上がる印象と、この映画が描き出すものは、しかし、ほとんど対極と思えるほど異なる。

 祖母、父親と母親、母の妹、幼い男の子の五人家族が、古びた平屋建ての一軒家に住んでいる。ただでさえ狭い家にはごたごたとものが置かれていっそう窮屈になり、一家はぎゅうぎゅうと密着して暮らしている。喧嘩(けんか)が絶えないということはないが、ものすごく仲のいい家族というわけでもない。ただ、なんとなく不思議な結束がある。

 父親と息子は、日も沈んだ寒空の下、集合住宅の廊下に出されている女の子を見つける。親からの虐待を疑った父親は、ついその子を連れて帰る。彼女はその日から男の子の妹になる。そのあたりから、だんだんこの家族の結束が何によってなされているのかが、見えてくる。

 しいたげられる痛みを知る者だ…

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