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 宝塚歌劇団雪組の公演「凱旋門」が8日、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で開幕する。第2次世界大戦前夜のパリを舞台に、ドイツから亡命した医師が、運命に翻弄(ほんろう)されながらも、もがき生きる姿を描いた作品。専科スター轟悠(とどろきゆう)が、雪組のトップスターだった2000年に初演し、文化庁芸術祭賞演劇部門優秀賞を受賞した。18年ぶりの再演で、現トップスターの望海風斗(のぞみふうと)は、主演の轟の友人ボリスを演じる。

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 「誰もが男役として追いかける立場の方」。轟のことをこう表現する。

 その轟が初演し、受賞している作品。いつも以上に緊張感をもって稽古に入ったが、「いしさん(轟)がすごく気さくに、一緒の土俵でやって下さる。気負いすぎて向かっていくというより、いつも通り、いしさん演じるラヴィックにどう対するのかを考えています」と話す。

 初演は、音楽学校の受験生時代に見た。何より印象に残っているのは、轟の姿だ。お酒を飲むにしても、コートを脱ぐにしても、すべてが決まっている。「えーー、こんな格好いい人いるんだ、と。私の中で『轟悠さん男なんじゃないか説』でした」とにっこり。そして、リアルな芝居。ラブシーン一つとっても、映画を見ているよう、と感じた。

 ただ、作品自体の深さを当時は理解できていなかったという。今回、初演の映像や原作、背景にあるロシア革命の資料などを探して読みこんだ。ボリスは「自分の人生の哲学をきちんと持っている人」ととらえる。

 「初演が素晴らしかったからこそ再演がある。壁をどう乗り越えるのか。どれだけ役に愛情を持って生きられるのかが大切だと思っています」

 トップに就いて、もうすぐ1年になる。「私がいちばん元気で舞台を楽しんでいてこそ、周りへの刺激になるのかな」。肩の力を抜いて、また次の壁を越えていく。

 公演は7月9日まで。(尾崎千裕)