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 筑波大学と産業技術総合研究所発のベンチャー企業が、スポーツ選手の不正な薬物使用を調べるドーピング検査用ロボットを共同開発し、公開した。オリンピックなどの国際競技に欠かせない検査だが、検査員不足や検査ミスが課題になっており、ロボット導入で解消を図る。2022年の北京冬季五輪での採用を目指しているという。

 今回ロボットを公開したベンチャー企業は、産総研の技術を移転して設立した「ロボティック・バイオロジー・インスティテュート」(東京)。同社によると、ロボットは身長1・35メートル、重さ220キロで、二つの腕で人間ができる動作なら何でもできる。

 セットされた検査台の上で、サンプル容器をつまみ出し、ピペットで選手の尿や血液に試薬を入れたり、遠心分離機に入れて上澄みを取り出したりする。試薬の色の変化を読み取ることもできるという。

 検査速度は人間の検査員とほぼ同じだが、24時間休まず動き続けるので人間の3倍の作業をこなせる。また、作業ミスがほとんどなく、すべての作業を記録するため、不正が見つかった場合に選手側が検査ミスを疑っても、客観的なデータを示して反証できる。ロボットは検査台と一緒にカメラで監視された部屋に入っているため、不正行為も起こりにくいという。

 同社取締役で産総研創薬分子プロファイリング研究センターの夏目徹センター長によると、ロボットも検査機器もすでにあるものだが、これをドーピング検査用に製品化したのは世界初という。販売価格は全体で約1億円。夏目取締役は「(選手の遺伝子を操作して競技力を向上させる)遺伝子ドーピングのような難易度の高い新しい検査から導入していきたい」と話している。(三嶋伸一)