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 2025年に2度目の大阪万博は開かれるのか。そのカギを握る博覧会国際事務局(BIE)の総会が日本時間の13日夕にパリで開かれ、日本政府が3度目となるプレゼンテーションに臨む。これまで明らかになった構想には、驚きの「未来予想図」が並ぶ。果たして実現できるのか、夢で終わるのか。

 25年万博の開催地には、日本(大阪)のほかロシア(エカテリンブルク)とアゼルバイジャン(バクー)が立候補している。

 日本政府が描くテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。世界の人々がより健康で豊かに生きるための新たな方法を探る「未来社会の実験場」をめざす。

【動画】1970年の大阪万博と2025年の万博誘致について語る京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授=井手さゆり撮影

カギは医療・健康

 大阪府の松井一郎知事がキーワードに掲げるのは、「万博で10歳若返る」。

 なぜ10歳なのか。

 厚生労働省がまとめた推計値によると、日本人の平均寿命(16年)は、日常生活に支障なく過ごせる「健康寿命」に比べ、男女それぞれ9~12歳ほど長い。この差を「若返り」で埋めたいという考えだ。

 手段のひとつに挙げるのは、iPS細胞による再生医療。例えば認知症などの治療方法が見つかれば、「若返り」につながり、より長く生き生きと暮らせるのでは。そうした未来を万博で示したいというのが松井知事の構想だ。

 政府の提案書には「センシング・バイタル・サイン」という言葉もある。来場者が自分の体調を計測して健康チェックを受けられ、結果をもとに「疲労の蓄積や熱中症、脱水症状を防止」することを狙う。希望者には食生活や運動習慣を提案し、来場者の集団データを分析して新しい健康増進法を探る取り組みも考える。

 一方、過去の万博の課題として指摘されるのが、長蛇の列。提案書には「パビリオンの待ち時間ゼロ」との目標を明記している。最新技術でパビリオンの混雑状況を見えるようにして、来場者にストレスを感じさせず、会場内を移動中も楽しめる体験プログラムを用意することで、退屈な時間を「ゼロ」にするという。

バーチャル参加者「80億人」

 「バーチャル参加者は最大80億人」という構想もある。会場への来場者数は約2800万人を見込むが、VR(仮想現実)などの技術を使い、国内外から会場のパビリオンにいるかのような体験をしてもらう仕掛けだ。理論上は「最大で(25年の推計人口の)世界全80億人が『参加』できる」とうたう。

 「70年万博の『太陽の塔』や過去の万博の風景を復元」することも計画している。AR(拡張現実)やMR(複合現実)といった技術で、当時を体感できる仕組みを検討する。

 と、さまざまな未来が盛り込まれた25年の万博構想だが、すべては11月のBIE総会で約170カ国の投票によって開催地に選ばれてからの話。具体的な実現方法について、大阪府の担当者は「細かいことは、選ばれてから検討します」と話している。(佐藤恵子)

山中教授が支持訴え

 日本時間の13日夕に開かれるBIE総会では、日本など3カ国が万博構想を披露する。開催地を決める11月の総会を控え、事実上最後のプレゼンの場になる。

 日本のプレゼンターの一人は、京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授(55)が務める。世界で初めてiPS細胞を作製してノーベル医学生理学賞を受賞した知名度をいかし、支持を広げたい考えだ。

 パリに入った大阪府の松井一郎知事は12日、「3カ国の中で、行ってみたいと思われるプレゼンにしたい。日本の可能性を感じてもらいたい」と語った。