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東レ 日覚昭広社長に聞く

 日本経済を再生させようと、アベノミクスでは企業の経営環境を改善させる策をとってきた。東レの日覚昭広社長に最近の成長戦略をどう見ているか、聞いた。

 最近、「6重苦」という言葉を聞かなくなりましたが、すべてが解消されたわけではありません。電気代(の高さ=「苦」の①)や原油は依然、高い水準にあります。

 円高(②)はよくなりました。金融緩和は世界中やっていて、これはやらざるを得ず、円安になった。これは評価したいと思います。

 ただ、為替は国際的なマネーゲームの影響を受け、不確実性が高い。まだまだ安心して投資ができる状況ではありません。今は1ドル=110円ほどですが、経営者として90円でも対応できるようしておかないといけない。

 法人税率(の高さ=③)も下がったが、世界はもっと低くなっています。相対的なものなので、日本の引き下げが十分だとは言うことはできないでしょう。自由貿易(協定への対応の遅れ=④)についても、もっと推し進めなければいけない。

 日本は高コスト構造で、多くのハンディがある中で戦っている。これらを解消してイコールフッティング(対等な競争条件)にすれば、日本企業の競争力はかなりあります。

 日本企業は10年、20年先を見据えた研究開発をし、基礎研究にも力を注いでいます。ベンチャー企業の育成も大事で、これはサポートしていきたいですが、既存の企業への支援も重視してもらいたい。

 米企業は短期の業績に固執するあまり、このような長期を見据えた開発にあまり取り組んでいません。だからベンチャー企業が注目されているのですが、日米で企業のあり方が違うことを知ってほしい。

 日本では規制緩和など成長戦略が進んでいないことが課題です。例えば水素で走る燃料電池車(FCV)。水素ステーションを造ろうと思うと、莫大(ばくだい)なお金がかかります。高圧ガスなど様々な規制があるためです。欧米ではまずやってみて、そのうえで修正していきます。

 本当の成長戦略とは何か、考える必要があるでしょう。

 ※残る「苦」は⑤派遣業などで労働規制が多い、⑥環境規制が厳しい、とされる。(聞き手・加藤裕則)