[PR]

医の手帳・脳腫瘍(2)

 下垂体は、脳から垂れ下がる形をした脳の小さな器官ですが、様々なホルモンを分泌し、体中の多くの内分泌腺を制御して身体活動を支える、重要な器官です。

 小さな下垂体にも様々な腫瘍(しゅよう)ができます。下垂体が、目と脳をつなぐ視神経のすぐそばに存在し、ホルモンを分泌することから、腫瘍ができると特殊な症状を起こします。今回は、最も頻度の高い下垂体腺腫について説明します。

 下垂体腺腫には、非機能性と機能性があります。非機能性腺腫は、過剰なホルモン分泌はしませんが、腫瘍が大きくなって視交叉(こうさ)などに触れることで、徐々にものが見えにくくなるなどの症状が起こります。そのため眼科の先生から紹介されることが多いです。

 機能性下垂体腺腫は、過剰な下垂体ホルモンの産生によって特殊な症状を起こします。ホルモンの種類によって、月経不順や乳汁分泌などを生じたり、肥満や高血圧、甲状腺機能亢進(こうしん)による不整脈や発汗などを生じたりします。

 下垂体腺腫の治療は、腫瘍の種類や大きさ、神経症状の程度などを勘案し、摘出手術、薬、放射線による治療から選択します。中には早急な治療が必要になることもあります。またホルモン分泌が低下している場合には、ホルモンを補充することが必要となるため、複数の関連診療科が協力して最適な治療を行うことになります。

 外科治療は近年、内視鏡を用いた摘出が主流です。ハイビジョン画質以上の高精細な内視鏡で、より安全・確実な摘出術が可能となりました。さらに、新しい薬も開発され、精度の高い放射線治療も可能となってきています。

 

<アピタル:医の手帳>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(新潟大学脳研究所 藤井幸彦教授・米岡有一郎特任教授(脳神経外科分野))