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 千葉大学病院で30~80代の男女9人の患者に対してCT検査画像診断の報告内容を医師が見落とすなどしてがんの診断が遅れ、2人が死亡した問題では、担当医が自分の専門分野だけに注目し、別の部位のがんの存在を見落とすという構造が浮かんだ。病院は8日の記者会見で、当初治療していれば結果は変わった可能性があるとの認識を示し、診断の遅れと死亡との因果関係についても認めた。

 病院によると、70代男性は2016年1月に皮膚がんの疑いで画像検査を受けていた。放射線診断専門医が画像診断報告書で肺がんの疑いを指摘していたが、担当医は報告書を十分確認しなかった。昨年4月に皮膚科で改めて画像検査を受けて肺がんが分かり、同年6月に死亡。病院側は「(16年の時点で)治療していれば選択肢の幅が広がったと言える」とした。

 また、60代女性は13年6月、腸の病気の経過観察で画像診断を受け、報告書で腎がんが疑われると指摘されたが、担当医が十分確認していなかった。4年後の昨年10月に別の診療科で撮影したCT画像で腎がんが確認され、同年12月に亡くなった。病院は「(13年の時点で)治療していれば、その後の経過に大きな違いがあった」としている。

 2人は手術もできず、死因となったがんが確認されてから約2カ月後に亡くなった。病院は診断の遅れと死亡との因果関係についても「あったといわれればその通りだ」としている。医療安全管理責任者の市川智彦副院長は「診療科の担当医は専門領域を診るところに力を注いでいる。それ以外の確認不足が生じた」と話した。

 また、死亡した2人のほかに、50代男性が1年1カ月、60代男性が5カ月遅れて診断され、この2人の治療に影響が出た。さらに5人について2カ月~1年遅れたが、「治療には影響はなかった」としている。

 担当医の見落としだけでなく、専門医の報告書の作成遅れや作成を怠っていたことなども確認された。(寺崎省子、熊井洋美)