【動画】事件が起きた「のぞみ265号」の16号車内の様子=乗客提供
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 東海道新幹線の車内で9日夜、刃物を持った男に切りつけられて男性1人が死亡し、女性2人が重傷を負った事件。13号車に乗っていたという落語家の桂ぽんぽ娘(こ)さん(38)は、東京都内での仕事を終え、京都市の自宅に帰る途中だった。

 新横浜駅を出てまもなく、「ギャー」という叫び声が聞こえた。隣の12号車の方から逃げてきた人が13号車になだれ込み、通路でドミノ倒しのようになった。「血がついている」「人が刺された」という声が聞こえ、立ち上がって見渡すと通路の床に血が見えた。

 桂さんは「自分も襲われるかも」との恐怖から逃げようと思ったが、通路は乗客であふれかえり、窓際の席だったこともあってなかなか身動きが取れなかった。

 気分が悪くなった桂さんは14号車との間にある化粧室まで何とか行った。13号車の通路から、床には血が点々とついていた。

 容疑者については「後ろの方へ逃げた」「もう捕まった」などの声が聞こえた。小田原駅に着いた頃には車内のパニックも少し収まっていたというが、「(容疑者が)外に出たというアナウンスを聞くまでは生きた心地がしなかった」。

 警察官が車両に入ってくると「12号車にいた人は協力してください」「荷物は証拠品なので触らないでください」と声をかけて回っていたという。

 桂さんはその後、三島駅で降り、取材に応じた。「乗っていた車両が一つずれていたら、と思うと怖い。被害者の方がただただ気の毒です」と涙を見せた。(松田果穂)