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 第65回春季東北地区高校野球大会(東北地区高野連主催、朝日新聞青森総局など後援)は11日、青森市営球場で決勝があり、東北は聖光学院(福島)に1―2で敗れて準優勝となった。10日の準決勝では、東北は八戸学院光星(青森)を9―6で破っていた。

普通科生「11」番は譲れない東北・阿部宙大投手

 同点で迎えた決勝の十回裏。放送が投手交代を告げた。阿部宙大(みちひろ)君(3年)はマウンドにあがると深呼吸し、ベンチからの「全球ほえろ」という声に「うおおおっ」とほえて応えた。

 先頭打者は左飛に。だが次でストレートの四球を出してしまう。ベンチから「ほえろ」と声が飛んだが、動揺のあまり「はい」と返すのが精いっぱいだった。強打の聖光学院は、それを見逃さない。連打を許し、サヨナラ負けした。

 野球の強豪と知らず、東北高校普通科に入学。「野球がやりたい」との思いだけで野球部のドアをたたいて、気づいた。「俺、ダルビッシュの後輩じゃん」

 ほかの3年生部員は全員スポーツ科だ。普通科で授業が長い自分だけ、1~2時間遅れて練習に合流した。中学から注目されている部員も多い中、自分は練習時間も少ないと焦った。「もっと練習しないと」。居残り練習を重ねた。

 今年の春。背番号「11」を受け取った。帰ってユニホームと一緒にそっと置いておくと、気づいた母が跳び上がって喜び、寝ていた父も驚いて「よくやったな」。両親が喜ぶ顔がうれしかった。

 背番号11を重く感じる時もあった。6月上旬の練習試合で先発したが、連打され降板。「やっぱりおまけなんだ」。強豪校で自分が「11」をつけていいのか悩んだ。数日後、今度は七回から登板した。「自分らしくやろう」。全球、ほえながら投げた。気がつけば3回を無失点に抑えていた。

 東北大会の決勝は、苦い思い出になった。でも夏はこれからだ。「これを外さないように、全力で練習します」。背番号11に手をあてた。(窪小谷菜月)

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