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 東日本大震災の津波で多くの職員が犠牲になった岩手県大槌町の旧役場庁舎の解体工事が18日にも始まるのを前に、住民団体代表らが11日、解体の差し止めを求める仮処分を盛岡地裁に申し立てた。解体を巡っては4日、代表らが住民監査を請求したが、「監査中に解体が強行されてしまう」と申し立てに踏み切った。

 平野公三町長は旧庁舎について、「目にするのがつらいという町民に寄りそう」と一貫して解体を主張。保存か解体か町を二分する論争は、法廷に持ち込まれることになった。

 仮処分を申し立てたのは、「おおづちの未来と命を考える会」代表で寺院住職の高橋英悟さん(46)と、町職員だった長男(当時29)を津波で亡くした母親(64)。記者会見した高橋さんは「解体の前にやることがある」と訴え、旧庁舎を保存し、多数の職員が犠牲になった原因を検証するよう求めた。弁護団によると、震災遺構の解体工事の中止を求める仮処分申し立ては全国初という。

 仮処分の申請に、平野町長は「対応は現在検討中であり、コメントは差し控えたい」とした。

 高橋さんらは、3月に町議会が可決した解体予算4700万円の執行は「違法・不当」と主張し、住民監査を請求している。町が震災直後に浸水想定区域だった旧庁舎玄関前で災害対策本部の開設作業をし、職員28人が津波にのまれたことなどを重視し、「重大な結果への原因究明もないまま、検証の現場を消そうとしている」と熟慮を求めている。(本田雅和)