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 全国の主要企業100社を対象にした朝日新聞のアンケートで、学生優位の「売り手市場」の中、新卒採用で計画通りの人数を確保できないなどの具体的な影響がすでに出ていると15社が答えた。今後の影響を予測する29社を足すと4割以上になる。日本を代表する大企業でさえ、採用活動が思い通りにいかなくなりつつある実態を表している。

 調査は年2回、企業の経営トップらへの面談を原則に実施。今回は5月28日~6月8日に実施した。

 すでに影響が出ている15社からは「地方のグループ企業で面接途中での辞退が増えている」(食品)、「求めるレベルに達する人材の採用が難しくなってきている」(小売り)、「ITなどニーズの高い分野は計画数を確保できていない」(化学メーカー)などの声が出ている。

 「具体的な影響は今のところないが、今の状況が続けばいずれ出そうだ」が29社。「売り手市場が強まれば(就職活動の)短期化が進み、企業間取引が中心で消費者と接点のない企業は苦戦を強いられる」などと心配する企業もあった。

 こうした状況の中、88社が採用活動や新入社員の待遇などを前年から変更した。インターンシップを導入・拡充したり、会社説明会の回数を増やしたりした企業がめだつ。

 初任給を引き上げた企業も25社あった。今年、初任給を引き上げた高島屋の木本茂社長は「辞退が増えており、多めに内定を出さないと計画を下回る。年々その傾向が強まっている」と打ち明ける。

 リクルートの調査によると、2019年春卒の学生の求人倍率は、従業員300人未満の中小企業で9・91倍なのに対し、5千人以上の大企業は0・37倍。数字上は、大企業が苦戦する状況にはなっていない。

 就職活動に詳しい千葉商科大専任講師の常見陽平さんは「企業側が、求めるレベルを変えずに採用数を増やしたことで、一部の学生に内定が集中し、大企業であっても辞退者が出てきているということ。経団連の面接解禁日にはすでに多くの中小やベンチャー企業から内定を得ている学生がいることも、大企業側に危機感を抱かせている。少子高齢化が進む中で、人材の奪い合いは激しさを増す。採用活動を工夫して、何とか求める人材を確保しようとしているのが現状だ」と指摘する。

 景気の現状については、17年11月に実施した前回調査とほぼ変わらず、8割超が「緩やかに拡大」を選んだ。(森田岳穂)