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 松山刑務所(愛媛県今治市)の受刑者逃走を受け、法務省は、同様に「開放的処遇」を行っている網走刑務所(北海道網走市)の二見ケ岡農場を報道陣に公開した。模範囚約20人が、周囲を塀で囲まれていない宿泊施設で寝起きし、農作業に従事している。

 法務省が11日に公開した。網走刑務所は現在、定員1600人に対して741人(未決拘置9人を含む)を収容。ほとんどはコンクリート塀を巡らせた施設内で、日中は工場内で木工などの刑務作業に就き、夜は舎房で休んでいる。

 ただ、このうち、まじめに作業に取り組み、出所が近づき受け入れ先が決まっているなど、選ばれた約20人は「塀の外」に出ることを許される。刑務所本所の約6キロ西方にある同農場庁舎には塀がない。同様の開放的施設を持つ刑務所は全国に4カ所ある。

 受刑者は内部の舎房「青雲寮」に寝泊まりして、農作業などに従事する。規律は「塀の中」と同じだが、CDプレーヤーや目覚まし時計、本などを持つことができ、手紙を出す回数が多いなど優遇されている。

 周囲の農場は359ヘクタールあり、牧場では100頭近い黒毛和牛を飼育して毎年20~30頭を肉牛として出荷。肉質は高く「網走監獄和牛」のブランドで人気が高い。畑ではタマネギ、ジャガイモなど7種類の野菜や牧草を栽培している。

 事件後も、農場の開放的処遇を変えず、新しい物理的な対策は講じていない。刑務官の伊藤誠農場長は「受刑者が自分たちを信じて優遇してくれる刑務官を裏切れないという信頼関係を築き、受刑者の気持ちの変化を知ることが逃走防止の基本」と話す。

 刑務所からの脱走は戦後、1960年代までは頻発したが、その後落ち着き、1981年11月に当時33歳の受刑者が農場から逃げ、2日後に北見市内で逮捕されて以来、起きていないという。(宮永敏明)

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