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元東京高検検事の高井康行弁護士

 東京高裁の決定は当然だ。静岡地裁が再審開始の根拠としたDNA型鑑定は独自の手法であるうえ、鑑定の元データも消去されていたことが判明し、信用性に疑問があった。地裁は犯行時の着衣とされた「5点の衣類」に捏造(ねつぞう)の疑いを指摘したが、検察がそれまでの公判での主張に反する証拠を捏造するわけがない。一方、高裁が再審決定を取り消しながら、釈放の継続を認めたのは疑問だ。釈放の根拠は失われており、再収監しないのは理屈に合わない。(聞き手・根津弥)

葛野尋之・一橋大教授(刑事法)の話

 東京高裁は、有罪判決に合理的な疑いが残るかどうかを判断すべきなのに、再審請求で出された「新証拠」の個々の信用性を検討しており、問題がある。高裁が否定したDNA型鑑定は、足利事件などのように真犯人の存在までは示していないが、袴田さんのものではない可能性は示している。有罪を疑う根拠になり得るはずで、「疑わしきは被告人の利益に」の原則からすると、高裁が見るべき「方向」は逆だ。新証拠に「信用性の強さ」を求め過ぎた今回の決定は、ほかの再審請求事件にも影響する。(聞き手・北沢拓也)